問題解決の第一歩 現状(As-Is)把握のポイント

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「問題」とは?

先の読めない社会情勢や生成AIといったテクノロジーの進歩など、ビジネス環境が急速に変化する現代において「問題を的確に捉え、原因を探り、課題を設定して解決に導いていく」いわゆる問題解決力がビジネスパーソンにおいて重要であることは言うまでもありません。

しかしながら、そもそも「問題」とは何か?を正しく説明できない人も一定数いるのではないでしょうか?「問題」とは、現状(As-Is)と理想(To-Be)のギャップです。例えば、あるECサイトで月500件のコンバージョンが目標なのに、実際は月200件しか達成できていない場合、不足する300件が問題となります。

この「300件足りない」というのは非常にわかりやすい例ですが、実際のビジネス現場では、あいまいな目的、複合的に講じる施策、利害の異なる関与者の思惑‥などが絡み合って、そもそも「問題自体が見えづらい」というケースも多くあります。

問題の抽出は問題解決の出発点ですので、「ちょっと見えにくいから、いったん仮置きしておこう‥」など軽視してしまうと、その後の検討が全く別の方向に進んでしまうリスクが高まります。たとえば、300件足りないというケースも、厳密にいえば、新規客を獲得できていないのか?リピート購入してくれないのか?どちらを問題視するのかによって、その後の施策が大きく変わってくることは容易に想像できます。そのため、現状(As-Is)を丁寧に紐解いていくことは極めて重要です。

問題解決のスタートは「問題の抽出」であり
そのためには「現状の把握」が肝要

現状(As-Is)把握のポイント

それでは問題解決の一歩として、現状(As-Is)を正しく把握するためには、どのようにすればいいのでしょうか?ここではまず、現状把握に使えるデータが手元にある(もしくは容易に収集できる)前提で、押さえておきたい2つのポイントをご紹介します。

ポイント①|客観的で再現性のある情報をつくる

1つ目のポイントは、主観や思い込みに左右されない「科学的なアプローチ」です。

アクセスログやアンケート結果といった統計データなど、なるべく客観性の高いデータを集め、再現性のある考察(誰が見ても同じことが言える)が可能な事実情報としてまとめることで、上司やクライアントへの報告でも「本当にそうなのか?」と疑問を持たれることなく、関与者全員が同じ問題意識を持つことにつながります。

ポイント②|仮説ありきで情報収集する

2つ目は「仮説」です。客観的なデータが大事だとはお伝えしましたが、いたずらに集めてしまうと、そこから取捨選択し、考察していくのは相応の労力が必要です。とりわけ、現代ではオンライン上にデータが無数にあふれていますので、盲目的に集めるとデータの渦にのまれてしまい、立ち行かなくなるケースも想定されるでしょう。

そこで、あらかじめ「これが問題かもしれない」という仮説を軸に据え、検証に必要なデータを収集していくという段取りをお勧めします。仮説があることで調査の方向性(必要な情報が何か?)が明確になり、合理的に進められることはもちろんのこと、仮説と集めたデータがそぐわない場合には、その矛盾が新たな仮説を生む種となり、問題の本質に迫れる機会にもなるからです。

現状(As-Is)把握に役立つデータがない場合

いっぽうで「そもそもデータが手元にない」「収集することも困難」といったケースでは、どのようにすれば良いのでしょうか?

現状把握に使えるデータがそろっていないときは、「1次情報」を作ることを推奨します。「1次情報」とは、自分自身が直接聞いたり、見たり、体験したり…など、自らの行動によって得られる独自情報です。手間はかかりますが、世の中にOPENになっている「加工情報」とは違い、自身の体験に基づくためリアリティや説得力があります。今回は「1次情報」を作り出すための4つの手法をご紹介します。

SNS投稿やレビューの収集

自分がユーザーになりきって情報収集することで、ユーザーが普段どのような情報に触れ、どのような心情になり、どう行動をしているのか?疑似的な体験を通じて、現状を把握していく手法です。

例えば

  • どんな投稿や広告が目に留まっているのか?
  • 与えられた情報に対してどんな感情を抱いているのか?
  • どこで関心が高まっているのか?逆にどこで離脱しているのか?

などをユーザーの視座で確認することで、ユーザーの心情や体験を確認することができます。

フィールドワーク・自分自身での体験

時間や場所、金銭的な条件が合えば、実際に売買の現場に足を運んだり、購入して使ってみたり、といった自ら行動するフットワークの軽さも重要です。まさに、1人のユーザーとして何らかのコストをかけて行動することで「なぜ私は欲しいと思ったのか?」「なぜ嫌だと感じたのか?」など、そこで得られた自己体験の客観的な分析を通じて、現状を生々しく把握することにつながります。

アンケート調査

すでに確からしい仮説がある場合には、独自のアンケートで定量的に検証できる方法も有効です。数百~千名規模の被験者に対して幅広い質問を直接投げかけ、分かりやすく数値で結果が得られるため、うまくいけば説得力の高い情報になり得るでしょう。

最近では、安価に実施できるセルフ型アンケートサービスも普及してきており、実施しやすい環境が整ってきています。

インタビュー調査

いまいち仮説に確証が持てない場合は、数名の対象者にデプスインタビューを実施し「いったん聞いてみる」というのも一つの手です。質問力が問われる手法にはなりますが、デスクリサーチでは到底たどり着けないようなユーザーの深層心理に迫ることで、知る由もなかった現状が見えてくることもあります。

また、これらの手法は組み合わせることでより早く・正確に現状把握ができます。

仮説に基づいてファクトを集め、足りない情報は自ら作り出す。こうした解像度を上げる努力によって、問題は明確になり、原因の推定がしやすくなります。それが問題解決の第一歩となるでしょう。