「切り口」とは、伝達のための編集方法のこと

切り口とは何か?

広告などマーケティングコミュニケーションの議論をしていると「切り口」という言葉がよく使われます。しかし「切り口」の意味について、いまひとつ腑に落ちないまま使っている人も多いのではないでしょうか?切り口は、態度変容をさせたい相手に対して、伝えたい情報を最も効率的・効果的に伝え、実際に態度変容を促すための情報編集の方法です。ですから切り口を考えるにあたり、まず、やるべきことは

  • 態度変容させたい相手(=コミュニケーションターゲット)を明確にすること
  • 伝えたい情報を洗い出し、優先順位をつけておくこと

です。さらに

  • 優先順位をつけた伝えたい情報を、いったんターゲットが目の間にいるものだと思い、営業パーソンになったつもりで、口頭で順に説明してみてください。

切り口を考える前に「仮シナリオ」が必要

まずは、「こんにちは!今日は〇〇についてご説明させていただきますね」から入ってみましょう。短時間でよどみなく説明できれば合格です。しかし、どこかつまずく感じがする、論理的に、スムーズに説明できない、妙に長すぎる‥となると、それはどこかおかしいのです。スムーズに説明できるように、修正しておかないと、切り口の議論をしても意味がありません。

この作業のことを「仮のストーリーをつくる」とか、「仮の説明シナリオをつくる」と言い、「こんにちは!云々~」から始まるシナリオを、「どストレートなシナリオ」と言います。間違ってはいないけど、最初の掴みが弱く、面白みのない説明という意味です。

切り口がつくれない人というのは、このような切り口の前段階のワークがしっかりできないように見受けられます。自らが営業パーソンになれないようであれば、伝わるコミュニケーションや相手を動かすコピーは書けません。

もし、自らが営業パーソンになれないなら、まず販売の現場に行ってみてください。そして自らが顧客となり営業パーソンの説明を体感・観察してください。住宅や自動車、結婚指輪などの経験がない若年のプランナーは、それぞれのショールームなどに行き、疑似顧客として話を聞くだけでも、書く内容が全く変わり、シナリオが生き生きしてきます。この努力を怠ると、次の切り口もチープなものになり、ありきたりのスペック集を切り貼りしただけのものを量産しがちです。

相手に合わせて入り方を変える

切り口の本質は、「こんにちは!云々」から始まる「どストレートなシナリオ」のイントロを変えることです。このイントロを左右2つの水道のホースに例えてみましょう。

左にあるホースは私たちのクライアントが伝えたいこと、右にあるホースはターゲットです。私たち専業プランナーは、この間をとりもち、ターゲットに対してスムーズに水(情報)が流れるようにしなければなりません。

そうするためには、ターゲット側のホースの形状(=切り口)をしっかりみて、その形状に合わせてクライアント側のホースの形状(=切り口)を変えないといけないのです。この切り口の形状がしっかりかみ合わないと、水がこぼれてしまいます。

切り口は、ターゲット顧客がいまどんな状態にいて、どんな情報を欲しているか?によって変わります。情報を収集している段階では、「~って何のことかご存じですか?」という切り口もありです。「よくいただく質問をご紹介します」とか「これまでお使いの商品と比べてみました」という入り方でも良いでしょう。とにかく、最初にターゲット顧客をどう振り向かせて、水を流していくか?というところがポイントになるのです。ただし、正解は1つではありません。複数出してみて、クライアントと議論するのが望ましい姿です。

切り口の種類の例は、こちらの本(コンテンツ・デザインパターン)にも掲載されていますし、さまざまなコミュニケーションツールを見て、自分なりに類型化することでおおよそのパターンがつかめると思います。この「切り口」という視点で、世の中の広告コミュニケーションを見始めると、ぐん!とクリエイティブのアイデア発想力が伸びると思います。

最後にシナリオを整える。それが、構成案になる。

いくつかの切り口を考えたら、全体スムーズに水が流れるか(ターゲット顧客が、違和感なく受け入れ、最後に意思決定できるようにシナリオが組まれているか?)、いま一度シナリオを検証してください。

ポイントは、ターゲット顧客が受け入れやすいように

  • 伝えたい順番を整えて
  • 大小・強弱を付け
  • 顧客が分かる言葉で
  • 態度変容を促す

ことです。これが「どストレートではない効くシナリオ」であり、別名「構成案」と呼ばれるものになります。

参考|thinkjam.「コンテンツ・デザインパターン」技術評論社(2017)

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