入社後すぐ“使える議事録”を書けるようにするための4つのポイント

 議事録の役割は、「記録」だけではありません。会議参加メンバーだけでなく、参加していなかった人もその決定事項を理解し、「次にどんなことを行うべきかを明確にする重要なブリーフ(小さなメモ)」であるという認識をもつことが必要です。

 そのためには、

・事実のみ書かれていること(解釈は読み手が行えばよい)。
・主述関係が明確であること(誤解を生まないようにする)。
・簡潔にまとまっていること(忙しい人も時間をかけずに読める)。

ということだけでなく、次のアクションのブリーフになるのなら、当日(会議直後がベスト)に仕上がっているというスピード感も意識しなければなりません。

 そのような“使える議事録”を書くには、新卒のうちから4つのポイントを押さえておくとよいでしょう。

目次

  1. フォーマットを用意する
  2. 会議前に書けるところは書いてしまう
  3. 会議中は構造的にメモをとる
  4. 会議当日にまとめてチェックしてもらう
  5. まとめ

 まず必要な項目が書かれたフォーマットをベースに議事録を書きましょう。おそらく、MicrosoftのWordやExcel、メモ帳などで書かれた議事録を使うことが多いですが、

●作成日、作成者、承認者
●会議名、開催日時、場所、出席者、主な目的
●この会議のアジェンダ
●会議内容
●決定事項、持ち越し事項
●次回予定とアジェンダ

という項目があらかじめ立っているものが便利です。

 保存時のファイル名は「20230601|議事録|会議名」などのように、必ず会議日の日付をいれておくと、見つけやすく時系列での整理も簡単です。

 “使える議事録”は、正確性とわかりやすさ、スピード感が求められますので、あらかじめ議事録を書くことに集中できる人を決めておきます。

新卒やそのプロジェクトにアサインされたばかりの人が顧客やプロジェクトを理解するためのトレーニングとして議事録担当になりがちですが、まだ知見・知識が浅いため、肝心のポイントがヌケ落ちないよう、上長も決まったことや次のアクションなどはメモをしておきたいところです。万が一のことを考えて、参加者に許諾を得て録音しておくケースもよく見られます。

 議事録を書くことになったら、会議中にフォーマットを立ち上げて入力しはじめるのではなく、既知の事実情報は会議前にあらかじめ書き込んでおくと、肝心の会議内容に集中できます。

 また、配布資料を事前に入手できるようなら目を通し、わからない用語は調べておいたり、論点になりそうなところに付箋紙を貼っておいたりするのもお勧めです。当日の議論についていくために、紙で出力し、手元に置いておくほうがすぐに必要なページにアクセスでき、図版などに手書きメモもでき、会議時間を効率的に使えます。

 さまざまな意見が交わされる会議内容をまとめる作業。上長から「必要なことを簡潔に書くように」と指示されても、最初はなかなか難しいでしょう。

 時間軸で書こうとしても、議論があちこちに飛んでしまい、どうまとめたらいいか収集がつかなくなってしまったり、結論だけ書いても「プロセスも知りたい」と言われたり、発話内容を書いていると「結論が見えない」と言われたり‥と、苦労している人もいるかもしれません。

 最初に意識して欲しいのは、何が議論されているのかを察し、その議論のテーマごとに内容の塊をつくっていくことです。会議では、同じテーマが時間差で話されることが多々あります。慣れるまでは議事録に書かず、議事録とは別にアウトラインプロセッサなど使って、同じテーマは1つにまとまるように、その場で塊にしていくことがよいでしょう。アウトラインプロセッサは、文章の塊ごとに直感的に同じものをまとめることができるマインドマップのようなものを使うとラクです。シンクジャムがよく使うツールとして、XMINDがあります。

 同じテーマごとに議論の塊をつくったら、その内容を、

①結論
②結論に至るプロセス
③出席者の発話内容

というかたちでまとめてみましょう。これが「構造的にメモ」をとるということです。

 例えば、下図のように、ある戦略会議でメモをしたケースをみると、「直近のスケジュール」をテーマにした議論がされており、結論として「来週月曜の午後に社内でアイデアを持ち寄る」ことがわかります。

 そして、結論に至るプロセスとして「主担当の業務が過多」だから「全員で仕上げるべき」という議論になり、その場合「個人の稼働も問題なし」という議論に至ったことがわかります。また、それぞれのプロセスごとに、主要な発話内容と発話者も記されています。ここから、「結論」「プロセス」「重要な発話」を議事録にコピーペーストしていけば、議事録の「内容」欄がまとまります。

 時間が経てば経つほど、会議内容を忘れてしまうものです。そのため、会議内容を整理したり、議事録を精緻化したりする作業は、会議が終わったらすぐ行うようにしましょう。同時にわからなかった用語はネットで、ダブルミーニングに捉えられる言葉の意味や一部不正確なところなどがあれば、同席したメンバーに確認します。

 この作業は、できれば会議後20分以内に集中して行う(※)ことで、新鮮な記憶を整理することができ、正確な議事録につながります。議事録の整理ができたら、当日中に社内・社外に共有し、認識に齟齬がないか確認するようにしましょう。会議の関与者も当日中に議事録が確認できるため、記憶の整理がしやすく、次のアクションも取りやすくなります。

 ここでは、「チェックに回す」(あとはよろしく)という姿勢ではなく、「チェックしてもらう」という、あくまでも書いている自分に最終責任があり、自らが主体的に動くという意識をもちたいもの。議事録の細部までしっかりと目が行き届くようになります。

(※)出典:日本経営心理士境界「エビングハウスの忘却曲線

 議事録は、記録だけではなく、関与者に共通認識をもってもらい、スピーディに次のアクションを促すためのものです。必ず議事録担当を1名決め、準備→会議前→会議中→会議後それぞれのワークをきちんと対応することで、“使える議事録”が書けるようになります。特に、会議中における「議論を構造化してメモをとる」スキルは、さまざまな仕事を効率的にこなしていく上でも極めて重要です。議事録をきっかけに、早くからスキルアップを狙っていきましょう。

入社後すぐ“使える議事録”を書けるようにするための4つのポイント

 議事録の役割は、「記録」だけではありません。会議参加メンバーだけでなく、参加していなかった人もその決定事項を理解し、「次にどんなことを行うべきかを明確にする重要なブリーフ(小さなメモ)」であるという認識をもつことが必要です。

 そのためには、

・事実のみ書かれていること(解釈は読み手が行えばよい)。
・主述関係が明確であること(誤解を生まないようにする)。
・簡潔にまとまっていること(忙しい人も時間をかけずに読める)。

ということだけでなく、次のアクションのブリーフになるのなら、当日(会議直後がベスト)に仕上がっているというスピード感も意識しなければなりません。

 そのような“使える議事録”を書くには、新卒のうちから4つのポイントを押さえておくとよいでしょう。

目次

  1. フォーマットを用意する
  2. 会議前に書けるところは書いてしまう
  3. 会議中は構造的にメモをとる
  4. 会議当日にまとめてチェックしてもらう
  5. まとめ

 まず必要な項目が書かれたフォーマットをベースに議事録を書きましょう。おそらく、MicrosoftのWordやExcel、メモ帳などで書かれた議事録を使うことが多いですが、

●作成日、作成者、承認者
●会議名、開催日時、場所、出席者、主な目的
●この会議のアジェンダ
●会議内容
●決定事項、持ち越し事項
●次回予定とアジェンダ

という項目があらかじめ立っているものが便利です。

 保存時のファイル名は「20230601|議事録|会議名」などのように、必ず会議日の日付をいれておくと、見つけやすく時系列での整理も簡単です。

 “使える議事録”は、正確性とわかりやすさ、スピード感が求められますので、あらかじめ議事録を書くことに集中できる人を決めておきます。

新卒やそのプロジェクトにアサインされたばかりの人が顧客やプロジェクトを理解するためのトレーニングとして議事録担当になりがちですが、まだ知見・知識が浅いため、肝心のポイントがヌケ落ちないよう、上長も決まったことや次のアクションなどはメモをしておきたいところです。万が一のことを考えて、参加者に許諾を得て録音しておくケースもよく見られます。

 議事録を書くことになったら、会議中にフォーマットを立ち上げて入力しはじめるのではなく、既知の事実情報は会議前にあらかじめ書き込んでおくと、肝心の会議内容に集中できます。

 また、配布資料を事前に入手できるようなら目を通し、わからない用語は調べておいたり、論点になりそうなところに付箋紙を貼っておいたりするのもお勧めです。当日の議論についていくために、紙で出力し、手元に置いておくほうがすぐに必要なページにアクセスでき、図版などに手書きメモもでき、会議時間を効率的に使えます。

 さまざまな意見が交わされる会議内容をまとめる作業。上長から「必要なことを簡潔に書くように」と指示されても、最初はなかなか難しいでしょう。

 時間軸で書こうとしても、議論があちこちに飛んでしまい、どうまとめたらいいか収集がつかなくなってしまったり、結論だけ書いても「プロセスも知りたい」と言われたり、発話内容を書いていると「結論が見えない」と言われたり‥と、苦労している人もいるかもしれません。

 最初に意識して欲しいのは、何が議論されているのかを察し、その議論のテーマごとに内容の塊をつくっていくことです。会議では、同じテーマが時間差で話されることが多々あります。慣れるまでは議事録に書かず、議事録とは別にアウトラインプロセッサなど使って、同じテーマは1つにまとまるように、その場で塊にしていくことがよいでしょう。アウトラインプロセッサは、文章の塊ごとに直感的に同じものをまとめることができるマインドマップのようなものを使うとラクです。シンクジャムがよく使うツールとして、XMINDがあります。

 同じテーマごとに議論の塊をつくったら、その内容を、

①結論
②結論に至るプロセス
③出席者の発話内容

というかたちでまとめてみましょう。これが「構造的にメモ」をとるということです。

 例えば、下図のように、ある戦略会議でメモをしたケースをみると、「直近のスケジュール」をテーマにした議論がされており、結論として「来週月曜の午後に社内でアイデアを持ち寄る」ことがわかります。

 そして、結論に至るプロセスとして「主担当の業務が過多」だから「全員で仕上げるべき」という議論になり、その場合「個人の稼働も問題なし」という議論に至ったことがわかります。また、それぞれのプロセスごとに、主要な発話内容と発話者も記されています。ここから、「結論」「プロセス」「重要な発話」を議事録にコピーペーストしていけば、議事録の「内容」欄がまとまります。

 時間が経てば経つほど、会議内容を忘れてしまうものです。そのため、会議内容を整理したり、議事録を精緻化したりする作業は、会議が終わったらすぐ行うようにしましょう。同時にわからなかった用語はネットで、ダブルミーニングに捉えられる言葉の意味や一部不正確なところなどがあれば、同席したメンバーに確認します。

 この作業は、できれば会議後20分以内に集中して行う(※)ことで、新鮮な記憶を整理することができ、正確な議事録につながります。議事録の整理ができたら、当日中に社内・社外に共有し、認識に齟齬がないか確認するようにしましょう。会議の関与者も当日中に議事録が確認できるため、記憶の整理がしやすく、次のアクションも取りやすくなります。

 ここでは、「チェックに回す」(あとはよろしく)という姿勢ではなく、「チェックしてもらう」という、あくまでも書いている自分に最終責任があり、自らが主体的に動くという意識をもちたいもの。議事録の細部までしっかりと目が行き届くようになります。

(※)出典:日本経営心理士境界「エビングハウスの忘却曲線

 議事録は、記録だけではなく、関与者に共通認識をもってもらい、スピーディに次のアクションを促すためのものです。必ず議事録担当を1名決め、準備→会議前→会議中→会議後それぞれのワークをきちんと対応することで、“使える議事録”が書けるようになります。特に、会議中における「議論を構造化してメモをとる」スキルは、さまざまな仕事を効率的にこなしていく上でも極めて重要です。議事録をきっかけに、早くからスキルアップを狙っていきましょう。

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