全員リモートになってプランナーが失ったこと

100%リアルには戻らない

デジタルマーケティングのプランナーも、クライアント企業のご担当者から「会って議論したい」ということさえなければ、ほぼ100%リモートで仕事ができるようになっています。そんな状況ですから、新型コロナウィルスの感染数が落ち着いてきたからと言って、100%リモートから、100%リアルに戻すというのは現実的だろうか?という議論も当然でてきます。

朝晩とも満員の通勤電車で揺られるのは、本当に時間の無駄です。もちろん、スマホで情報収集したり、本を読んだり、何より歩くことで健康に寄与するというメリットもあるかもしれませんが、別に電車の中でどうしてもやらなければいけないという話ではありません。しかし、この「プランナーが全員リモートワークの期間」で失われたことがあるのでは‥と、ずっと引っかかってきましたが、それがようやく分かりました。

失われたものは「データとの対話」時間

失われたものは「データとの対話」の時間でした。私たちは、データの基本的な出し方やKPI的な見方は知っており、例えばアクセスログデータであれば基本的なフォーマットに沿ってデータを抽出したり、レポート化したりすることはできます。国や自治体、企業のオープンデータを探したり、アンケートをまとめたりすることもできます。「ココとココを掛け合わせて、もう少し細かくデータを出してほしい」という指示があれば、そういったデータも抽出できるでしょう。「手順の決まった作業」なので、もちろんリモートでも充分できます。しかし、それは表面的なデータ抽出作業と解析作業でしかなく、データの分析作業はしていないのです。

データの分析とは、目の前のデータに対してこれまでと違った“メガネ”を掛けて(フィルターを通して)見て、「なぜ、ココはこうなっているのだろう?」と気づき、「もしかして、それは○○に原因があるのかな?」と仮説を出し、「そのなぜ?を解くには、ココとココを組み合わせてみてみないといけないな!」と試行錯誤して、それを一つずつ検証していき、いくつもの仮説検証のかたまりから、問題とその本質的な原因をつかんでいくという探偵の謎解きのような作業のことを言います。

リモート前にやっていたこと

リモート前は、こういった“データと対話する”とでもいうような、分析作業を対面で行っていました。つまり、

  • どんな眼鏡を掛けて?
  • どんな気づきを得るのか?
  • どんな仮説を立てるべきか?
  • どんなことをして仮説を検証するか?
  • いろいろな仮説検証からどうやって本質問題を掴むか?
  • さらに、どのように説明のストーリーを生み出すのか?

ということを、スキルの高い人と浅い人が一緒に議論することで、観察・考察のポイントや言語化のポイントなどを教え合う(学び合う)機会があったのです。

リアル(対面)で教え合う(学び合う)べきこと

しかも、それをブツ切の時間ではなく、ある程度まとまった時間で無理やりにでも全体をまとめていました。実は、この無理やりにでもまとめるという行為は、全体を俯瞰してみたときに、その仮説は正しいのか?ということの検証にもつながるため、最後の確からしいストーリーを組み上げるには重要な役割を果たしていたのです。

また、データ分析を対面で行う場合は、複数のデータを紙で出し、同時に複数のデータとにらめっこし、大型モニターで実際の画面を共有し、議論内容をホワイトボードに書いて議論を可視化し、最後にその内容をまとめて本質的な原因をつかむなり、次のアクションにつなげていました。つまり、物理的に「3画面」を使って議論をしていたのです。

さらに、だれか1人がものを調べたり、書いたりするのではなく、みんながその場で手を動かして、議論をしていました。リモートだと、個々人でメモをとったりしていますが、スピーディに3画面を共有することができず、必然的に1画面をにらめっこするような状況になっているのではないでしょうか?

リモートでも学び合える環境づくり

リモートによって、仮説立案のスキルが停滞している

おそらく、データの抽出と解析作業といった手順の決まったことしかできない人は、リモートによって分析作業といった次のステップに進むことが困難になっていたのです。

リモートで仕事をしていると、個々人のワーク時間も多く、仮に上長から「こういった分析をするのだ」と抽象的なことを言われても、目の前のデータで説明を受けないとおそらくピンとこないので「自分にはまだできない」「言われていることがよくわからない」「定時だから、明日何か言われたらやろう」というマインドになっているように思うのです。また、上長もスキルがあったとしても、実際のデータとの対話を通じてでないと、スキルの浅い人には上手く説明できないと思います。

逆に、スキルの高い人同士は、リモートによって飛躍的に生産性が高まります。いろいろなデータを目の前にして議論するポイントもわかっているので、複数のメンバーと一緒に集中して考える(議論する)ことで、さまざまな仮説を出して一気に問題の本質に切り込んで行くことができるわけです。ここにリモートでスキルの低い人がいても、おそらく現状のリモート環境では、よくわからないことを聞いているだけで、スキルアップにはつながらないでしょう。

リアルでの仕事での重要なポイント(=今後、出社するための仕事)は、この分析の議論をしっかり行うことです。もちろん、並行してリモートでこの分析の議論ができるように考えることも必要でしょう。

ご参考|データ対話型理論の発見

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