「○○について調べておいて」と上司に頼まれ、時間をかけて情報収集したものの「求めていた内容と違う」と言われてしまった経験はありませんか?
こうした行き違いが起きる主な原因は、あなたの情報収集の目的が明確でないからです。目的があいまいだと、闇雲に調べてしまうことになりかねません。
重要なのは、情報収集の4つの目的とその方法を理解したうえでリサーチワークをすることです。
リサーチをする際に目的を意識すると、集めるべき情報の範囲や優先度が明確になり、適切なアウトプットを出せます。今回は、それぞれの段階でどのように情報収集を進めればよいかを説明します。
1|「アンテナ収集」では、すき間時間でネタをためておこう

いざという時に仮説を出すための情報収集を「アンテナ収集」と名付けます。すぐに意見やアイデアを言えるようにするために情報をストックします。
例えば、クライアントとの打ち合わせ中。「競合はどんなことをしているのかな?」と聞かれたとき、「こんな事例があるので、御社の商材はここが差別化ポイントになりそうですね」と、プランナーなら仮説をさっと答えたいですよね。
そのためには、日頃からクライアントやマーケティングに関するネタを蓄えておくことが必要です。通勤中などのすき間時間を活用し、ニュースや業界レポートを読んで、クライアントや競合の動き、マーケティングの潮流などをインプットしておきましょう。
ポイントは、インプットした情報を類型化しておくことです。なぜなら、情報をただ溜めるだけでは、いざ使おうと思ったときに重要なポイントがすぐにわからず、仮説に活かせないからです。タグ付けをしておくと、必要な情報をすぐに探し出せて、実際の提案や資料作成に素早く生かすことができます。
タグ付けの例:
- 何が新しいのか?
- どんな課題に使えるのか?
- どのクライアントに役立ちそうか?
具体的には、以下のように情報を整理しておくといざという時の仮説出しに活用できます。
・印象に残ったLP
→ 参考ポイントをメモし、「参考LP」フォルダに保存する。
(例:ファーストビューからCVまでの流れが、ユーザーの興味を引く)
・気になった消費者トレンド
→ 重要ポイントと活用方法をメモし、クライアント別フォルダに保存する
(例:Z世代の○○離れ → クライアントAの若年層向けマーケ戦略に活用できそう)
2|「ひらめき収集」では、AIと壁打ちして仮説を集めよう

仮説を立てるためのヒントや検討材料が足りないときに行う、検討の方向性を広げるための情報収集を「ひらめき収集」と名付けます。
例えば、これまで経験のない業界の案件に関わるとき。この場合、「業界の市場規模」「クライアントの競合」など、案件の大枠をつかむ必要があります。
こうした場面では、自分ひとりの知識だけでは限界があるため、生成AIに問いかけるのが有効です。30分程度でも壁打ちすれば、ある程度の仮説を得ることができます。
ただし、あくまでもAIは仮説を出すために使いましょう。誤った内容が混ざることがあるため、注意しながら活用することが重要です。
ポイントは、適切なプロンプトを作るために、アンテナ収集を日ごろから行っておくことです。なぜなら、プロンプトの質は、自分がどんなインプットを持っているかで決まるからです。普段から情報を集めていないと、「何を聞けばいいか」「どこを深掘りすべきか」がわからず、生成AIにうまく質問できません。
具体的には、以下のようにアンテナ収集で得た情報をもとに生成AIと仮説出しを行います。
・気になったニュースを起点に、業界の関連情報や事例を訪ねる
例:「この消費者トレンドは○○業界にも影響しそうだけど、実際にどう?」
・競合の新しい施策の成功例を起点に、成功要因を深掘りする
例:「この施策の成功要因は○○だと思うけど、他に考えられる成功要因はある?」
このように、アンテナ収集で得た情報を起点にプロンプトを考えることで、リサーチの精度が高まり、より確からしい仮説を立てることができます。
3|「確かめ収集」では、仮説をざっくり検証しよう

仮説をざっくり裏付けるときに行う、方向性を定めるための情報収集を「確かめ収集」と名付けます。
例えば、生成AIから得た仮説の“信ぴょう性”を確認したいとき。こうした場面では、官公庁や国土交通省の統計や企業の独自調査データなどに自らあたりましょう。客観的なデータを使うことで、生成AIの仮説が誤情報に基づいていないかを確かめることができます。
また、1次情報にあたることで、新しい仮説が見つかります。さらに、複数の1次情報を掛け合わせることで違った仮説を立てることもできるでしょう。
ポイントは、あまり時間をかけすぎないことです。この段階では、あくまでも仮説をざっくりと “確からしくすること”が目的です。しっかり証明できるデータを探そうと思うと時間がかかりすぎて、全体の作業が進まなくなってしまいます。
具体的には、以下のように仮説を検証します。
仮説:○○市場は2023年から拡大し始めている
根拠①:経済産業省の統計レポート「○○市場は、2023年から2024年の間で市場規模が××億円増えている」
根拠②:業界新聞の記事「○○市場の○○需要が急増している」
集めた情報は、XMINDなどのマインドマップツールで整理すると便利です。仮説と根拠の関係を視覚化すると理解しやすく、上司やチームとの共有もスムーズになるでしょう。
4|「裏付け収集」では、根拠のあるデータで説得力をつけよう

仮説をしっかり裏付けるための情報収集を「裏付け収集」と名付けます。これまでの仮説を「確からしい」レベルから、数字やデータを使って「確かにそうだ」と証明できる状態に引き上げます。
例えば、クライアントへ提出する企画書をデータに基づいた説得力のあるものにしたいとき。こうした場面では、「キーワードの月間検索数」や「アンケート結果」など、具体的な根拠を集めます。数値データなどの調査結果を企画書に盛り込むことで、先様から質問を受けたとき、自信をもってデータを示しながら回答できます。
ポイントは、使うデータの「鮮度」と「信頼性」を必ず確認すること。なぜなら、古いデータや信頼性の低い情報を使うと、提案の裏付けが弱く見えてしまうからです。「どんな人たち?」「何に対して?」「いつ調べたのか?」「情報元は?」など、出典をしっかりチェックし、記載しましょう。
具体的には、以下のように仮説を裏付けます。
仮説:Z世代の男性は美容に関心がある
調査①検索ボリューム
「メンズ スキンケア」 月間検索数 約1.2万件
「Z世代 男性 美容」 月間検索数 約1,000件
調査②Webアンケート
20代男性500人を対象に実施した結果
「美容に興味がある」と回答した人が65%
「SNSで美容情報を収集する」「スキンケアを日課にしている」などの具体的な行動が見られた
このように検索数の数値データや、アンケート結果などの定量的・定性的な情報を揃えることで、仮説を裏付けることができます。 集めたデータは、結果レポートとして、ファクトと理由を記載した資料を用意しておくと、上司やクライアントへの説明がしやすくなります。
情報収集の目的を意識して、効率的で質の高いアウトプットを生み出そう

このように、あなたの情報収集作業において目的を意識するだけで、目的に合ったアウトプットを出せる確率が高まります。上長が部下にリサーチを依頼する際も、「どんな目的の情報収集か?」「どんなアウトプットが必要か?」を伝えることで、よりスピーディに成果が出るでしょう。ぜひ、普段の仕事から4つ目的別「情報収集フレームワーク」を活用してみてください。










1|いざという場面で仮説を出すときのネタを備えておくため
2|ヒントや検討材料がないときに仮説を出すため
3|仮説をざっくり裏付けるため
4|仮説をしっかり裏付けるため