空間コンピュータの時代へ!「Apple Vision Pro」体験から考えたXRの活用法

弊社パートナーであるブレッソン・アンド・ビズ株式会社の矢野慎一郎さまにApple Vision Proをお借りし、オフィスにて体験させていただきました。ここではハードのレビューに加えて、プランナー視点でApple Vision Proの活用法について思案したことを中心にまとめてみようと思います。

※本記事で使用したApple Vision Proは、総務省の「技適未取得機器を用いた実験等の特例制度」への申請を含め、適切な配慮のもと利用しています。

iPhoneの再来とも。Apple Vision Proとは?

Apple Vision Pro(アップル ビジョン プロ)とは、Apple社が開発したヘッドセット型のデバイスで、2024/2/2に米国にて発売されています(2024/4時点で日本未発売)。最先端のMR体験が可能になっており、ユーザーはApple Vision Pro内のディスプレイ越しに、眼の前の日常空間にデジタル情報やオブジェクトをシームレスに重ね合わせて見ることができます。

今回お借りしたApple Vision Pro

特筆すべきハードの特長を以下にまとめてみました。

デバイスの内外に複数のカメラとセンサーを搭載

外界の様子を忠実に読み取るために、本体の外側にカメラやセンサーが複数搭載されています。内部にもカメラが搭載されており、視線で端末の操作が可能になっています。

両目に搭載された高性能ディスプレイ

Apple Vision Proは片目だけで4Kテレビに近い解像度を誇っており、現実と見間違うほどの描写を可能にしています。

場所を問わず使用できるモバイル性能

ポケットサイズのモバイルバッテリーにつなぐだけでどこでも使用でき、外部端末(MacやiPhoneなど)とは無線で接続が可能です。

Apple社は、日常のあらゆる場面で仕事やゲームをできる空間を目の前に作り出すことが可能なことから、Apple Vision Proを「空間コンピューター」と表現しています。価格は3,499ドル~(執筆時点の日本円にして約52万円~)と高額ながら、「iPhoneの再来だ」との前評判を受けており、Apple Vision Proへの注目を窺い知れます。

Apple Vision Proを実際に体験してみた

今回限られた時間ではありましたが、Apple純正デモアプリである「Encounter Dinosaurs」を使って、Apple Vision Proを体感することができました。

「Encounter Dinosaurs」は現実世界(今回ならばオフィス)と恐竜世界をつなぐ、いわば「どこでもドア」のようなポータルが目の前に登場し、ポータルの向こう側から恐竜がやってくる…という少しスリリングな体験ができるアプリになっています。

ゴーグル越しに見えている映像を外部ディスプレイに映すことが可能

体感してまず驚いたのは、ディスプレイ越しながらオフィス風景が忠実に再現されていて、まるでゴーグルをつけていないかのようでした。そこに、バーチャルで表現される高精細な恐竜世界が加わり、オフィスにまるで本物の恐竜がいるような感覚になりました。

目の前に恐竜がいるように錯覚し、思わず体が動いてしまった

従来のVRゴーグルやARグラスと異なる点

筆者はこれまでにVRゴーグルやARグラスをいくつか体験したことがあったため、それらと比較しながら、「Apple Vision Proの強みがどこにあるか?」をまとめてみました

比較してみるとApple Vision Proならではの強みが見えてくる

例えば、リアル重視であれば、軽量かつサングラスのようにリアルを視認できるARグラスの方が優れていると言えます。バーチャル重視であれば、機能を特化できるVRゴーグルの方が必要十分なパフォーマンスを発揮すると言えるかもしれません。

それに対し、Apple Vision Proは「リアルとバーチャルを高いレベルで融合できること」こそに強みがあると感じました。ユーザーは現実世界と仮想世界をシームレスに行き来しながら、新しい体験を享受できるメリットがあります。

プランナーならApple Vision Proをどう活用するか?

「リアルとバーチャルを高いレベルで融合できること」というApple Vision Proの強みを生かした活用法を「プランナー本人が使う場合」と「ターゲットが使う場合」の2軸で考えてみました。

プランナー本人が使う場合

  • 作業の効率化

例|複雑なデータを3Dで可視化し、効率的に示唆を得る

Apple Vision Proは、一般的なPCよりも多くの情報量を表示することができるため、一般的なデスク環境よりも効率的に作業できるようになるかもしれません。2次元的に複数かつ広大な作業画面を表示させることも、3次元的に情報を表示させることも可能です。

  • 作業のユビキタス化

例|通勤電車内や人の多いカフェでも、周囲を気にせずに作業ができる

その高いモバイル性能から、作業環境に依存せずどこでも作業ができるようになります。また、Apple Vision Pro内に表示される情報は外部から見えないため、セキュリティ的な観点でも優れていると言えそうです。

  • ユーザー理解

例|外のサイネージや吊り下げ広告などを現地で事前にシミュレーションできる

Apple Vision Proを使えば、よりユーザーの目線に近いところで施策を事前にチェックできます。また、一般には理解しづらい業界の現場などを実体験できるようにすることで、顧客理解の解像度を高め、教育的な観点では新人プランナーの育成にも寄与するかもしれません。

ターゲットが使う場合

  • 体験のエンタメ性を高める

例|サッカーの試合を現地で観戦しながら、選手や試合の情報、ボール軌跡などをリアルタイムで確認できる

スポーツ観戦やライブ鑑賞、美術館などのリアルの体験にApple Vision Proのバーチャルコンテンツを重ね合わせることで、エンタメ性を高められるかもしれません。Apple Vision Proだからこそ実現できるリアル×バーチャルの相乗効果が期待できそうです。

  • 体験の再現性を得る

例|伝統工芸品を作る職人の細かな手作業をバーチャルで再現できる

手術や料理、ハンドメイド製作などの手技性の高い操作は、映像でも伝わりづらいことが往々にしてあります。Apple Vision Proならリアルとバーチャルで立体的に模範を再現でき、技術を継承するハードルが下がるかもしれません。後継者のいない伝統の維持にも寄与しそうです。

  • 体験の敷居を下げる

例|新築戸建てのエクステリアやインテリアを実際のスケール感でイメージできる

Apple Vision Proを使うことで、リアルではコスト的・物理的に難しい体験も実現できそうです。新築戸建ての例の他にも、車のデザインオプションのシミュレーション、自宅でのバーチャル試着などにも活用できるかもしれません。