ステマ規制

「ステマ規制」という言葉をご存じですか?ステマ規制とは、2023年10月1日から施行される景品表示法の運用基準 により、ステルスマーケティングが規制されることです。本記事では、ステマ規制の背景や取り組むべき対応策についてご紹介します。

ステマとは

「ステマ」とは、ステルスマーケティングを省略した言葉です。ステルスマーケティングとは、消費者に広告であることを隠して行う宣伝行為のことです。典型的なパターンとして、以下の2つがあります。

①なりすまし型

事業者(=広告主)が関係のない第3者を装って、自社の製品を宣伝する手法です。

(例)自身が経営するレストランについて、客を装い「美味しかった」というクチコミを投稿する

②利益提供秘匿型

影響力のある第三者(芸能人、インフルエンサーなど)に報酬を支払っていることを隠した上で、事業者の意図に沿ったレビューをさせる手法です。

(例)サプリメント商品を芸能人に提供し、提供であることを隠した状態で、ブログで商品について好意的に書くよう指示する

ステマの問題点とは

ステルスマーケティングは、消費者の商品選択に大きく影響します。

消費者は、パッケージや広告などの表示を参考に商品を選びます。その表示が「事業者による広告である」と認識すると、ある程度の誇張・誇大が含まれていることを考慮した上で商品を選ぶことができます。

一方、広告であることがわからない場合、消費者は「事業者ではない第三者の感想である」と誤認し、表示の内容をそのまま受け取ってしまう可能性があります。つまり、ステルスマーケティングは、消費者の自主的で合理的な商品選択を阻害するおそれがあります。

株式会社オンジンが実施した「インターネット上での宣伝がステマだとわかった時に関する意識調査(n=500)」によると、インターネット上でおすすめ商品として紹介されているものが「広告(PR)」だと表記されていた時、64.0%の消費者が「購入を控えるようにする」と回答しました。この結果から、広告(PR)の表記の有無は消費者の商品選択に大きく影響することがわかります。

( https://onjin.co.jp/blog/survey-3 )

ステマ規制の背景

規制が実施される背景には、インターネット広告市場の広がりがあります。

消費者庁の「ステルスマーケティングに関する検討会(報告書)」によると、インターネットの広告費は2011年に8062億円であったのが2021年に2兆7052億円となり、10年間で約335%増加しました。また、2021年のインターネットの広告費は2兆7,052億円で、マスメディア4媒体(新聞・雑誌・ラジオ・テレビ)の広告費合計2兆4,538億円をはじめて上回りました。

https://x.gd/I0i9i

また、同報告書では、広告業界でステルスマーケティングが横行していることや、SNSなどのソーシャルメディアにおいて、広告を発信するインフルエンサーがステルスマーケティングの知識を持っていないといった現状が指摘されています。これらの理由も踏まえて、ステルスマーケティングは規制されるに至ったのではないでしょうか。

規制の対象となる表示

ステマ規制では、具体的にどのような表示が規制されるのでしょうか。消費者庁は、規制の対象となる表示について『「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」の運用基準』を定めています。運用基準によると、以下の2つの条件を同時に満たすものが規制の対象となります。

①事業者による表示

基本的に、規制の対象となるのは「事業者による表示」です。

では、インフルエンサーなどに事業者が依頼し、消費者からは第三者による表示に見えるものについてはどのように考えたらよいでしょうか。その場合、表示内容の決定に事業者が関与しているかどうかが重要です。関与が認められると、その表示は事業者によるものとみなされ、規制の対象となります。

②事業者の表示であると不明瞭なもの

消費者にとって事業者の表示であるとわかりにくいものも、規制の対象となります。具体的には、以下の2つのパターンに分類されます。

  • 事業者の表示であることが全く記載されていないもの
  • 不明瞭な方法で記載されているもの

(例1)表示の中に「広告」と「これは第三者の感想です」との記載を混在させる

(例2)「PR」の文字を周囲の文字より小さく記載する

ステルスマーケティング規制の対象とならないためには、以上の運用基準について理解を深めることが重要です。

ステマ規制への対応策

また、ステルスマーケティングの規制に向けて、各事業者は以下の取り組みもしていきましょう。

  • ステルスマーケティングが違法行為であることを社内・インフルエンサーに周知
  • 景品表示法の運用基準に基づき社内でガイドラインを作成する
  • 景品表示法の運用基準に基づいた広告かどうか、外部の事業者にチェックしてもらう


たとえば、株式会社エルテスは「コンテンツリスクチェック」というサービスを展開しています。これからの広告市場では、外部のチェック専門事業者を利用し管理体制を整えることが必須になるかもしれません。

( https://eltes-solution.jp/service/contents-check )

本記事では、2023年10月1日から施行される「ステマ規制」について、規制の背景や対応策までをご紹介しました。ステルスマーケティングは、消費者の自主的で合理的な商品選択を阻害するものです。ステルスマーケティングを行わないよう徹底していくことで、消費者から信頼される企業を目指していきましょう。

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