デジタルデトックス

digital detox and technology concept - close up of hand holding smartphone and different gadgets in wicker basket on table at home

デジタルデトックスとは、スマートフォンやタブレット、PCなどの使用を意識的に制限して、しばらくの間、一定の距離を置く取り組みのことを指します。これらのデジタル機器と適切な距離を保つことで、心身の疲労改善やストレス軽減に効果的であると考えられており、じわじわと知名度を上げているトピックといえます。

多岐にわたるデジタルデトックスの方法

デジタルデトックスには様々な方法が存在します。

  • 就寝1~2時間前にはスマートフォンの使用を控える。
  • デジタル機器が必要のない趣味に時間を割く。
  • スマホ依存対策アプリをインストールして活用する。

もちろんデジタル機器の使用を一切禁止するという強制力の強い方法もありますが、上記のような短い期間デジタル機器の使用を控える方法でも十分にデジタルデトックスを実施したと捉えられます。このようにデジタルデトックスのやり方に選択肢が増えたことによって、より広い層が始めやすい活動へと変化していったと考えられます。

スマホ依存対策として人気のアプリ『Forest』
スマホを使わなかった時間によって木が育っていく育成ゲーム型アプリ
(https://forestapp.cc/)

デジタルデトックスが注目される理由は?

懸念される健康への悪影響

ネットの普及に伴い、デジタル機器は生活になくてはならない必需品となり、多くの人がその手軽さと機能性の恩恵を受けています。一方で、睡眠の質の低下やストレスの蓄積など、デジタル機器の使用によって起き得る健康問題への関心が高まっています。

10~50代の562人に対して行われた「スマホ依存に関する調査」(2015年5月8日~9日実施、MMD研究所)では、80.5%の人がスマホ依存を自覚しており、34.5%の人がデジタルデトックスの必要性を感じていることが分かりました。

20代における「かなり依存している」の割合が特に高い。
https://mmdlabo.jp/investigation/detail_1433.html

また、「家庭等における青少年の携帯電話・ スマートフォン等の利用に関する調査」(2018年2月16日~19日実施、東京都青少年・治安対策本部)によると、51.2%の保護者は子どもにスマートフォンを持たせたことによる悪影響を感じたと回答。どのような影響を感じているかという質問の回答には、睡眠不足や視力低下などがみられ、子どもの将来を危惧する声も挙げられています。

このようにデジタル機器による健康への問題意識は高まりを見せており、今後もデジタルデトックスの需要は増加していくかもしれません。

トレンドとして取り組まれるデジタルデトックスの実例

本章では、デジタルデトックスに関する話題のトピックやトレンドをご紹介します。

事例1|自然界隈

自然界隈とは、山や川などの自然豊かな場所を好む若年層を指す言葉です。SNS上でキャンプを楽しんでいる写真や動画に「#自然界隈」を付けた投稿が拡散され、メディアに取り上げられることも多くなりました。また、SHIBUYA 109 lab.トレンド予測2024(2023年10月~11月実施、株式会社SHIBUYA109エンタテイメント)では「モノ・コト部門」にノミネートされています。多量なコミュニケーションを必要とするSNSに疲れを感じる人が増えている中、SNSと距離を置き、心身をリフレッシュできるとして自然に触れ合う体験が人気を集めています。

「モノ・コト部門」に自然界隈がノミネート
(https://www.shibuya109lab.jp/article/231205.html)

事例2|Light Phone

アメリカでは、SNSなどによるメンタルヘルスへの懸念が高まり、若い世代やミニマルな生活を求める人々の間でフィーチャーフォン(=ガラケー)の需要が高まりました。そこで、クラウドファンディングによって生まれたのが「The Light Phone」です。

Light Phoneは現代のスマートフォンとは異なり必要最低限の機能しか搭載していないシンプルなスマートフォンです。メールや通話、音楽の視聴などは可能ですが、アドレス帳には9人しか登録できず(次世代モデル「The Light Phoneⅱ」では登録人数が無制限となりました)、X(旧twitter)やInstagramといったSNSは使えない仕様になっています。デジタルデトックスへの関心が高い人々、ミニマリストを中心に人気を集めており、メインのスマートフォンとは別にサブ機として持ち歩く人も増えてきています。

アホ携帯・Dumb Phoneとも呼ばれているLight Phone
画像はLight Phoneの2代目機種「The Light Phoneⅱ」
https://www.thelightphone.com/

施策におけるターゲットインサイトの重要性



デジタルデトックスにも見られるように、流行するトピックが商品やサービスなどの施策として活かされていくことは多いですが、そのような施策を企画する上で重要なことは一体何なのでしょうか?その答えの1つにはターゲットインサイトの把握が挙げられそうです。参考例として以下の宿泊プランをご紹介します。

参考例|星野リゾート「BEB」の「脱スマホステイ」

“居酒屋以上 旅未満 みんなでルーズに過ごすホテル”をコンセプトに若い世代に向けて気軽な宿泊プランを展開する星野リゾートのブランド「BEB」では、スマホを手放した宿泊を楽しんでもらう「脱スマホステイ」というプランを通年提供しています。

「脱スマホステイ」では、チェックインの際に鍵付きの箱にスマホを封印。宿泊中はスマホに触れることはありません。また、写真撮影の代わりにスケッチブックに絵を描いて記録したり、SNSの代わりに宿泊の思い出をノートに記してシェアしたりするなど、アナログなコミュニケーションに浸ることができます。スマホの無い非日常を体感できる宿泊プランです。

脱スマホに対する意気込みを念書に記入
(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000360.000033064.html)

「脱スマホプラン」のターゲットはSNS疲れを感じているZ世代であり、「スマホやSNSと距離を置くことで得られる時間、またはその時間で体験できる喜びや充実感」をインサイトとして把握した上で企画されたものであることが考えられます。「Z世代のスマホに関する意識調査」(2023年2月実施、株式会社SHIBUYA109エンタテイメント)によると、Z世代の約51%は「SNS疲れ」を感じていることが分かっています。「BEB」は若い世代を中心に人気であるため、自社ブランドの顧客層が抱える本質的なニーズをしっかりと捉えている独自性の高い施策といえるのではないでしょうか。

このように、ターゲットに対する的確なインサイトが魅力ある施策につながっていくといえるでしょう。