メタバース

メタバースとは

「メタバース」とは、メタ(超越した)とユニバース(世界)を融合させた造語。アバターを通じて仮想空間内で交流する状態を含め、メタバースと表現されることが多いようです。

2000年代にブームとなったサービス「セカンドライフ」は、その先駆けとされており、「フォートナイト」や「あつまれ どうぶつの森」などのゲームもメタバースの一つとして捉えられることがあります。

Linden Lab社サービス「セカンドライフ」
Linden Lab社が2003年からスタートしたサービス「セカンドライフ」
https://www.itmedia.co.jp/pcuser/articles/1603/06/news002.html

メタバースの語源は、SF作家ニール・スティーヴンスンが発表した作品『スノウ・クラッシュ』(1992年)に登場する、仮想空間サービスにつけられた架空の名前と言われています。近年になり、さまざまな仮想空間サービスが登場すると、その総称として使われ始めました。

米フェイスブックCEOマーク・ザッカーバーグ氏が、「“ソーシャルメディア企業”から‟メタバース企業”へ移行する」と発言し、社名も『フェイスブック』から『メタ』に変更しました。IT関連業界のトップからもメタバースは注目され、従来はゲーム上で用いられることが多いメタバースでしたが、他の場でもメタバースを活用しようという企業の動きが活発になってきています。

いま再注目される理由

理由①|仮想空間を充実させる技術の進化

いまでこそ注目を集めているメタバースですが、構想自体は1960年頃から練られていました。米ユタ大学のアイバン・サザランド教授がCGの将来の姿として提案。89年には「バーチャルリアリティー(VR)」という言葉が登場し、VRが注目されはじめました。しかし、当時は技術不足によりユーザーに合わせて映像を動かすことが難しく、吐き気や目まいが生じることがありました。その結果、一般向けの使用や導入までには至りませんでした。

近年になり、デバイスの小型化、高速・大容量通信の発達、センサー技術の高速化といった技術革新により、メタバースを実現するVR(仮想現実)とAR(拡張現実)に対する期待が再び高まっています。仮想空間内での視覚体験の精度が向上し、身振り手振りや顔の表情などをアバターで表現する機能も備わったことで、自然なコミュニケーションが手軽に行えるようになりました。

理由②|経済活動を補完する技術の登場

NTF(非代替性トークン:暗号通貨と同様、その真贋や所有、譲渡に関する記録を改ざんすることが難しいデジタルデータ)とメタバースを組み合わせることで、デジタル上でより安全にデータの所有、売買が可能となり、より多様で大規模な経済活動が期待できます。例えば、実態を持たないデジタルアートや音楽などの取引がVR上で行えるわけです。

理由③|新型コロナウィルスによるコミュニケーション環境の変化

コロナ禍でビデオ会議や動画配信などが当たり前となりリアルで人と会わないことに慣れてきたこともメタバースが注目されている理由でしょう。例えば、JTBの場合「あつまれ どうぶつの森」とコラボレーションし、浅草や横浜など東京近郊の観光名所を再現したエリア『JTB島』を公開。ユーザーが旅行気分を楽しめるように、社員が2カ月かけて作成したようです。

接客での活用事例

メタバースは現在、仮想現実の技術を中心とした「VRメタバース」と拡張現実の技術を中心とした「ARメタバース」の2種類に分けられます。企業がそれぞれをどのように活用しているのかご紹介します。

1|実店舗を仮想空間に出現させるVRメタバース

三越伊勢丹ホールディングスは、ネット上の仮想空間に伊勢丹新宿本店を出現させ、24時間ショッピングを楽しめるサービス「REV WORLDS(レヴ ワールズ)」をスタートさせました。ユーザーは自宅にいながらスマホを操作し、バーチャル空間上の伊勢丹新宿本店を歩き回ります。本店と同様に買い物ができ、購入した商品は自宅に送り届けられる仕組み。実際の伊勢丹店舗で行われているイベントも再現しています。

バーチャル店舗では、きれいにレイアウトされた商品が並ぶことで、ECサイト上では表現できないブランドの世界観を映し出すことが可能に。また、販売員がアバターを通してチャットを利用した接客でおもてなしすることで、ユーザーはリアル店舗に近い体験ができます。

「REV WORLDS」上の伊勢丹新宿店内
「REV WORLDS」上の伊勢丹新宿店内
https://www.rev-worlds.com/place/4

2|実在する定員がアバター化されるARメタバース

女性用下着を販売する株式会社ワコールは、アバターを活用した非対面型の接客システムを一部店舗に導入しました。来店客は、モニターに映る販売員のアバターから下着選びのカウンセリングを受けることができます。遠隔から接客を行う販売員の表情や動きは、アバターに反映され、非接触でも自然なコミュニケーションが生まれます。

このシステムは、来店客がより気軽に自分の要望や体形に合う下着を探せることはもちろんですが、販売員の働き方改革にも役立ちます。ワコールは、産後の仕事復帰を希望する販売員の労働環境整備も目的の一つとしており、非対面型の接客システムは販売員のリモートワークにも寄与しそうです。

リモートでアバターの店員に商品購入の相談をする様子
リモートでアバターの店員に商品購入の相談をする様子
https://www.wacoal.jp/ava_parler/

企業の業務効率化を支えるメタバース

事例のように、VRメタバースとARメタバースはそれぞれ実現できることが異なります。VRメタバースは、現実にない世界をCGによって仮想空間上に作り出し、アバターとなったユーザーがその世界で行動します。例えば、米メタ社(旧:フェイスブック)が提供する「Horizon Workrooms」は、社内向けワークスペースとして活用されています。表情や身振りがアバターに反映され、それぞれのアバターが着席した位置により聞こえ方が変わるので、リアルで会議をしているような会話が行えます。

『Horizon Workrooms』を使用した会議の様子
『Horizon Workrooms』を使用した会議の様子
https://www.oculus.com/workrooms/?locale=ja_JP

一方ARメタバースは、現実世界にコンピューターで作られた映像を重ね合わせ現実世界を拡張します。アメリカ航空宇宙局(NASA)は、宇宙ステーション上でARメタバースの導入を実施。宇宙飛行士がARを使用して機材を保守点検できるかをテストするプロジェクト「T2AR」を行いました。マイクロソフトが開発する「HoloLens」とARが組み合わされ、ガイダンス動画やシステムオーバーレイなどを確認できます。これにより、従来の修理用マニュアルを見るために作業時に手が使いにくいという問題を解決するかもしれません。

宇宙ステーションでARを使用する様子
宇宙ステーションでARを使用する様子
https://www.moguravr.com/nasa-t2-augmented-reality/

今後も、VR/ARメタバースを活用する動きがますます広がっていきそうです。

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