食糧をめぐる世界的な問題
いま世界では食糧が余る国と不足する国が存在し、問題となっています。その原因の1つがフードロス。まだ食べられる食品が大量に廃棄されています。
また、急激な人口増加と、気候変動の影響で作物の収穫量が減る恐れがあるため、将来的には食糧不足が懸念されます。
これらの問題を解決するため、注目されているのがフードテックです。
フードテックとは、フード(food)とテクノロジー(technology)を融合させた分野のこと。新しい原材料を用いた食品や、AIを活用する調理法など、これまでの概念を覆すサービスが次々と登場しています。
食糧不足解決に寄与するフードテックの例
1|コオロギを原材料にし、新たな食品を生み出す
フードテックによりお肉や卵、牛乳などのさまざまな代替食品が生まれています。無印良品は、2020年に「より多くの人が昆虫食や環境問題について考えるきっかけになれば」という思いで「昆虫食」を開発。第1弾として、「コオロギ粉末入りのせんべい」、第2弾として「コオロギ粉末入りのチョコ」を発売しました。発売当初から注文が殺到。品切れが続いています。

(https://www.muji.com/jp/ja/store/cmdty/detail/4550344162897)
「生活者が選ぶSDGsに貢献する企業ブランドランキング」で、2020・2021年ともに総合2位を獲得した無印良品は、サスティナビリティに対して意識が高い企業です。SDGsの目標達成という観点からもフードテックは注目されています。
2|お手頃価格でテイクアウトし、フードロスを減らす
株式会社コークッキングが運営するアプリ「TABETE」(タベテ)は、“まだ安全においしく食べられるのに廃棄する必要がある食事”を低価格で提供しています。ユーザーは、飲食店や惣菜店の予約キャンセルや作りすぎなどの理由で余ってしまった商品を定価より安く購入(=レスキュー)できます。2018年にサービス開始以来3年間で、50万人以上のユーザーと2,000店舗以上の飲食店や惣菜店の登録を獲得し、累計で約5万食のフードロス削減に成功しました。
TABETE利用手順

全国の満18歳以上の男女5,000人に聞いた「食品ロスの認知と取り組み状況等に関する調査」(令和3年度消費者庁)によると、フードロスの認知度は80.9%、その内、78.3%の人がフードロスを減らそうとしており、消費者の注目度が高いことが分かります。このようなサービスは、食品をお得に購入できるだけでなく、フードロス削減に貢献したいというニーズにも応えられるのではないでしょうか。
フードロスを減らす、より高度なテクノロジー
フードテックへの2019年の世界投資額は、年間約2兆円。近年、ますます活発化しています。海外ではディープラーニングなどの最新技術を活用している企業も登場しました。
ディープラーニングを活用し、食品の鮮度判別
スペインで利用されている「ARTHYLEN」(アーサイレン) は、スーパー等に陳列されている食品の鮮度や生産情報を店員や消費者がスマートフォンアプリを使い、リアルタイムで確認できるサービスです。ディープラーニング技術と拡張現実を組み合わせて開発されました。
店舗では店員が食品の状態を正確に把握し、ダメージを受けた食品から廃棄作業を行うことができます。消費者は、リアルタイムで食品情報を確認しながら、より安全な食品を選ぶことができます。
loTタグで、賞味期限を見逃さない
アメリカのワイド・アフタヌーン社はスマートタグの「Ovie」(オヴィー)を開発。loTタグと食品を関連付けることで、消費期限を知らせてくれます。

(https://ideasforgood.jp/2018/06/28/ovie-smartware/)
賞味期限切れによる食材の無駄を防げるため、家庭でのフードロス削減に繋がります。
今後は日本でも、高度な最新技術を取り入れたフードテックが登場し、家庭やスーパーマーケットなどの身近な場所にも普及するのではないでしょうか。