すべてを顧客起点で考える|逸見光次郎さんインタビュー(4)

一貫してユーザー視点を外さず、社内のシステムも理解したうえでのコンサルティングが求められています。

オムニチャネルが、日本で遅れている理由

お店を中心に、物流、卸、メーカー、全部含めたリテールの仕組みが効率良く作られているので変わらないし、変わる理由がなかなかできません。よほどの危機感がなければ変わらないと思います。また利益が出ていれば今やる理由がないです。

保守的になってしまうということですね

なので、会社の外に目を向けておかないといけない。海外を見ることです。実際、中国に訪問した時、まさにWeChatpay、Alipayが出始めたころでしたが、市中ではスマホがないと何もできない状況でした。上海では、地下鉄もコインを入れるところがふさがれ、自販機もふさがれている。これは、そのコインを回収する手間をなくしたということですよね。販売側からしたら利便性が高い。もちろん、一元管理されるというような目的もありますが、どうせ監視されるのなら、利便性高い方がいいですよね

中国は合理主義ですしね。

合理的なところは、アメリカと中国はとても似ています。一方、ヨーロッパは居住地と勤務地の買い物の仕方が、構造的に日本に近いです。街のでき方や文化の成り立ちも似ている。デジタルの進み方や、オムニチャネルの人とのお付き合い、eコマースやアプリを含めたところは、イギリスは非常に進んでいます

アメリカ視察の際は、私は買い物しまくります。1日20店舗ぐらい漂っていますよ。後で、日本でレシート見て、商品コードと商品名の登録と、プライスカードの表示と、全部チェックします。そうすると、マスター構造が理解できる。カードを使うと、カードの通信状況がどうなっているか分かりますよね。

買い物してみたら、買い回り線で、自分がよく買うものがどのラインに置いてあるのかなど、見方が変わります。その瞬間に生活者の視点になります。

家族と行くとめちゃくちゃ面白いですよ。高校生の長男はウォルマートが面白いって言うけど、小学校4年生の長女はターゲットの方が面白いって。品ぞろえとかも違うねって言うんですよね。

妻が見る視点と子どもたちが見る視点って、やっぱり違いますからね。

この業界にいると、事業者側の視点をすごく優先しがちじゃないですか?

それを理解した上で、お客様はこうした方がいいよね。ここは多分、相違ないよね。じゃ、実現するために、どういうステップで変えていこうかっていう話ですよね。これが悪いから変えなきゃって言ったら、また抵抗勢力ですよ‥

どうしても大人の事情がでてきてしまう‥

だから、外の人を使うんです。社内であつれきが起きたら、もしかしたら転職しなきゃいけない人もでてしまいます。それって、ものすごくリスキーですよね。でも、外の人が同じこと言ってくれて、社内で議論になる分には構わないんですね。「外部のこの人が言ったから」って言えますよね。外部の人が発端になって、どんどんブレークダウンして、改善方法にたどり着いたら「じゃあ、外の人はありがとうございました」でいいわけじゃないですか。

ただ、そのためには外部の人は、きちんと自社のことを知らないといけないわけですよね。私は、某社でコンサルに入ってるんですが「逸見さん、何カ月前からウチにいたっけ」「ウチのシステム、理解してるよね」みたいなことを言われます。さまざまな資料をいただいて、全部読み込み、店も一通りチェックして、レシートも研究して‥などはしていますから。商品データベースをイオンで作らせていただいたのが、非常に良い経験になっていますね。

今後の展望

今が楽しいんですよ。10社毎月、中の話を聞いて、いろんなことが考えられるっていう、楽しくてしょうがないじゃないですか。

数十社、コンサルティングされていると相当大変ですよね。

でも、パターン化できる部分も結構あるし。同じようなポイントいっぱいあるんですよ。その会社のフェーズが違うとか、成長段階が違うだけで。こういうところが、頭の中に見えてきて。すごい面白いんですよね。

コンサルティング先には

  • 「そのデータを一元管理するのに、重過ぎますが、なんのためにやるのですか?」
  • 「データを管理したら何ができるんですか?何をしたいんですか?」
  • 「お客様のメリットはなんなんですか?」
  • 「どんなデータベースがあって、どういうフォーマットで管理されていますか?」
  • 「更新頻度はどうなっていて、どこに保守部署、管理職があるんですか?」

と、全部書き出し、「そういったことを実現するには、本当につないでなきゃいけないのはどれですか?」と考えた時に、“やっぱりイメージ通りじゃん”となるのが、面白いですね。

いまやってらっしゃることは組織にしないのですか?

副業とか、フリーな人が増えてきてます。その人たちをつなぎ合わせて、一緒に仕事していくやりかたになると思います。それに、鈴木さんのところから、人借りてますから。「ちょっと業務フロー書ける人、2人貸してよ」とかですかね。「分かった。じゃあ、おまえのとこで、ちょっと鍛えられるように。タフなやつ貸してやるから」という感じでやらせてもらっています。

もう結構やりたいことは今までで意外とやっちゃってるので、またなんか新しい興味の種が出てくるまでは、いろんな会社の支援を続けたいと思います。

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