OriHime(オリヒメ)

アバターロボット「OriHime」

アバターロボットとは、人間が遠隔操作することを前提としたロボットのことであり、近年注目されている分野です。アバターロボットの大きなメリットは、遠隔でも物理的に画面の向こう側に干渉できること。アバターロボットを使えば、遠隔地からイベントやショッピングの体験、働き手として現場での身体労働や施設の案内といった接客も可能になると考えられます。

Orihime
アバターロボットを自分の分身とすることで、遠隔地から様々な作業や体験が可能になる。

さまざまな会社がアバターロボットの開発に取り組む中で、最近特に注目されているのが、株式会社オリィ研究所(以降、オリィ研究所)によって開発された「OriHime(オリヒメ)」です。OriHimeの特徴は、「コミュニケーション」に重きを置いている点にあります。

OriHimeは手のひらにのせられる程のサイズで、利用者の表情を想像できるような「余地」のあるデザインをしています。また、自由に動かせる腕を持っており、言語以外でも豊かな感情表現が可能です。そのため、OriHimeを介することで離れている人とも身振り手振りを交えた、自然なコミュニケーションができるようになります。

喜怒哀楽を表現できる能面を参考にデザインされたOriHime
喜怒哀楽を表現できる能面を参考にデザインされたOriHime (https://orihime.orylab.com/porter/

OriHimeが接客をする

オリィ研究所は、OriHime を実社会で活用するための一歩として、2021年6月21日に「分身ロボットカフェDAWN(ドーン)ver.β」を日本橋にオープンさせました。DAWN ver.βは、機体を操作する人=パイロットが「OriHime」や自走機能がついた「OriHime-D」を自宅から遠隔操作し、接客を行う常設のカフェです。

接客をするOriHme
接客のほぼ全てをOriHimeとOriHime-Dがこなしている (https://dawn2021.orylab.com/

このカフェでは、大きく2つのサービスを提供しています。

1つ目の「OriHime Diner(オリヒメ・ダイナー)」は、OriHimeのパイロットとの会話を楽しみながら、カフェのオリジナルフードなどを楽しめる場。注文した商品は自走するOriHime-Dが運びます。

自走式のOriHime-D
自走式のOriHime-Dもパイロットが操作している (https://dawn2021.orylab.com/

2つ目の「BAR & Tele-Barista(バー・アンド・テレバリスタ)」は、カワダロボティクス(東京都台東区)が開発した産業用ロボット「NEXTAGE(ネクステージ)」とOriHimeがコラボレーションして誕生したコーヒー提供ブースです。顧客コミュニケーションはOriHimeを通して、実際にコーヒーを淹れる作業はNEXTAGEを通して、バリスタ経験のあるパイロットが遠隔地から一人で行います。客はパイロットとの会話を楽しみながら、好みに合わせて淹れられたコーヒーを味わうことができます。

NEXTAGEとOriHimeの連携
細かい操作が得意なNEXTAGEと会話が得意なOriHimeの連携
https://dawn2021.orylab.com/

分身ロボットカフェDAWN ver.βは、オープン開始から連日多くのメディアに取り上げられるほどの反響があり、複数のテレビ番組でも紹介されました。また2021年度の「グッドデザイン大賞候補(ファイナリスト)」にも選出されており(2021/10/20現在)、社会的な評価を得ていると言えそうです。この要因の一つとしては、カフェのように体を動かしながらの接客を必要とする場でも、アバターロボットが活躍できることを証明していることが挙げられるでしょう。

OriHimeは、誰にでも働く場所を提供する

もう一つ分身ロボットカフェDAWN ver.βが評価を受けたポイントとして、「カフェでOriHimeを操作するパイロットは、難病のALSで寝たきりといったさまざまな理由で外出困難な人々である」ことも深く関係しています。

これまで、体が不自由といった理由で家を出ることが難しい方は労働の機会に恵まれず、そもそも働くために必要な教育を受ける機会すらも得られにくい状況に置かれてきました。分身ロボットカフェDAWN ver.βであれば、遠隔からOriHimeを操作することでカフェの店員として働くことができます。

OriHimeは、身体的状況を問わず誰にでも働ける場所を提供し、経済的自立を促していると言えそうです。今後、OriHimeの技術改良が進み、より複雑な作業が可能になっていけば、働ける仕事の幅も広がっていくかもしれません。

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