GPT-3

高度な文章作成ができるGPT-3

GPT-3とは、世界的に有名な実業家・投資家の参加で注目を集めた人工知能を研究する非営利団体である「OpenAI」が開発し、2020年に発表した自然言語処理モデルです。自然言語処理とは、人が日常的に使っている自然言語をコンピューターに分析させる技術であり、例えばAppleのSiriのようなAIアシスタントや、スマートスピーカーなどに応用されています。GPT-3 を使えば文章の自動作成が可能で、その文章精度はまるで人間が書いたと思えるほど極めて高いと言われています。

下の画像は、GPT-3によるチャット自動作成の例です。チャットの前に冒頭で、シチュエーションをこう定義します。「車の運転手をサポートするAIアシスタントとの会話」。そして、チャットボットの性格も「アシスタントは親切で、創造的で、賢く、そしてとてもフレンドリー」としておきます。その後、2つ目の“Human”までを入力し、“Submit”ボタンでチャットを開始します。

すると、シチュエーションに沿って、GPT-3が以降の会話を自動作成します。「(鎌倉の観光スポットは)例えば何があるの?」という発言に対して、「大仏を訪れるのはどうですか?ここからバスが出ています。」と答えるなど、鎌倉の観光スポットを踏まえた的確な会話が作成されているのがわかります。

高度な文章作成ができるGPT-3
GPT-3を使えば、まるで人間同士のようなチャットが自動作成される(赤字は筆者が追加) (https://qiita.com/TT_23/items/cf0ac0c7d69bfceb9c84

では、上の例のような自然言語処理モデルの中でも極めて高いとされる文章作成精度を、GPT-3はどのように可能にしているのでしょうか?自然言語処理モデルは、本やWebサイトなどの言語データであるコーパスを、パラメータを用いてパターン化して学習します。GPT-3の場合は、約45TBのコーパスと約1,750億個のパラメータが用いられています。

GPT-3の課題とコーディングへの応用

まるで人間が書いたような文章作成を可能にするGPT-3。しかしながら、実用化に向けてまだ課題も残されています。それは、矛盾した内容や中身のない内容、さらには政治的・倫理的に問題のある内容を出力する可能性があることです。

この原因として、GPT-3が作成する文章はデータに基づいているだけで、意図や言葉の理解は考慮されていないことが挙げられます。また、学習データの偏りも不的確な内容を出力する原因になっているものと思われます。

文章作成においてはまだ課題が残るGPT-3ですが、楽譜やプログラムコード作成などの領域が、新たな得意分野となるかもしれません。特にGPT-3とコーディングの相性は良いといえそうです。なぜなら、プログラムコードであれば膨大なデータ量がネット上にあり、GPT-3の学習には事欠かないためです。豊富な学習データを用いることで、ますます高度で精密なコーディングが可能になると考えられます。この点を鑑みるとGPT-3は、文章作成機能よりもコーディング機能のほうが早期に実用化する可能性があります。

GPT-3が可能にするノーコード開発

すでにGPT-3がコーディングへ応用されている例として、「PowerApps」が挙げられます。PowerAppsとは、マイクロソフト社が開発したローコード(コードをあまり記述しなくていい)のビジネスアプリケーション作成ツールです。

2021年5月25日にMicrosoft社は、Power AppsにGPT-3を統合することで、自然言語入力に基づいてアプリケーションの自動作成を実現すると発表しました。同社は、GPT-3を活用した初の顧客向け製品の機能であるとしています。具体的にどういったことが可能になるのか、同社が公開しているサンプルを例にご説明します。

ローコードのビジネスアプリケーション作成ツール「PowerApps」
GPT-3によって、ノーコードでアプリに機能が追加できる(赤字は筆者が追加)
Microsoft社より)

まず、「何をしてほしいかを入力してください」とあるので、「サブスクリプションの有効期限が切れている米国の顧客を表示して」と入力します(①)。すると、入力した内容を反映させるためのコードが自動作成されます(②)。そして、実際にアプリ上で、サブスクリプションの有効期限が切れている米国の顧客を抽出する機能が付加されます(③)。

このようにGPT-3を導入したPowerAppsでは、自然言語を入力するだけで希望の機能をアプリに実装できます。つまり、これまで主流だったローコードのアプリ開発ツールに対し、GPT-3を導入したPowerAppsはコードを一切記述しない「ノーコード開発」を実現しているといえます。

ああして欲しい、こうして欲しい。そう入力するだけで、誰でも思ったとおりのウェブサイトやアプリが完成する。そんな時代が、近い将来やってくるのかもしれません。

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