スーパーアプリ

スーパーアプリとは?

LINEとYahooの経営統合で利用者数が1億人規模の国内トップのIT企業が誕生する、という先日のニュース。この2社の経営統合には「スーパーアプリ」の実現という狙いもあるようです。

スーパーアプリとは、買い物や決済などのさまざまなサービスを一括で管理・提供できるプラットフォーム型のアプリのこと。有名なスーパーアプリには、中国、騰訊控股(テンセント)の対話アプリ「微信(ウィーチャット)」やインドの端末決済アプリ「Paytm(ペイティーエム)」などがあります。

サービスの包括的な提供で、利用者離れを防ぐ

スマホの普及で企業と顧客をつなぐ新たな接点となったアプリ。拡大し続けるアプリ市場で勝ち抜くには、アプリ利用率の向上がカギとなりますが、アプリ会員化等の仕組みだけではリレーション継続が難しく、利用率低迷からの脱却が難しいのが現実です。

FacebookやAmazonではアプリをプラットフォーム化する動きもありますが、1つのアプリでの一括管理ができず、サービスごとにアプリのインストールが必要なのと、複数のアカウント管理が複雑な点が利用者離れを招いていました。

そこで登場したのがスーパーアプリ。様々なサービスを1つのアプリに集約しシームレスなユーザー体験を提供することで、利用者数の増加と囲い込みを狙います。また、スーパーアプリ化で利用者数を伸ばせるだけでなく、より多くの行動データを蓄積することも可能で、マーケティングへの活用も広がります。このようなメリットから、既存のアプリをスーパーアプリへと拡大させる動きが進んでいます。

生活インフラとなるスーパーアプリとは

中国全人口の8割が使用する「ウィーチャット」

端末決済サービスを軸にスーパーアプリ化を先行しているのが中国、テンセントのウィーチャット。2018年ごろから「小程序(ミニプログラム)」という仕組みを導入して、利用者数を伸ばしています。ミニプログラムはアプリ内で起動するので、サービスごとにアプリをインストールしなくても使えます。ミニプログラムの提供サービスは交通機関・宿泊の予約から動画・音楽配信サービス、保険販売など広くカバーされており、そのプログラム数は現在200万!。アカウント情報はウィーチャットと紐づいて自動入力されるので、利用者情報や支払い情報の登録の手間が省けてスムーズに利用できます。

ウィーチャットの月間アクティブユーザーは約11億3,200万人(2019年6月時点)。ウィーチャットに見られるように、アプリ内サービスを自社の決済サービスに帰着させることで可能になった「シームレスなカスタマー体験」がスーパーアプリ成功の要因ともいえるでしょう。

ウィーチャットのミニプログラム画面
ウィーチャットアプリの「ミニプログラム」画面
提携企業のサービスを交通、宿泊、配車などのカテゴリで分類し
アプリ遷移を伴わずに「ミニプログラム」でサービスの利用ができる。
出典:日本経済新聞2019/11/20記事

配車サービスを起点に発展 インドの「GO-JEK」

インドで広く利用されている「GO-JEK」は、もともとは配車サービスのアプリ。配車アプリで培った決済機能とマッチングノウハウを基盤にサービスを次々に展開していきました。アプリの立ち上げからわずか4年で、宅配やフードデリバリー、公共料金の支払いやハウスクリーニングの予約などのサービスを8,000万人に提供する「生活に必須のスーパーアプリ」になりました。

配車サービスを起点に発展 インドの「GO-JEK」

出典:Youtube「Life at Gojek」チャンネル

利用者をつなぎとめるサービス展開がカギ

日本国内の通信・決済事業各社でも、主力サービスを基軸としたスーパーアプリ化やミニアプリ化が進んでいます。メッセージアプリの「LINE」は、同社が運営するモバイル決済サービス「LINE Pay」と連携した「LINE Pay友だち追加機能」で小売店とユーザーのコミュニケーション機会の提供を行っています。ユーザーが小売店で決済した際に、公式アカウントの友だち追加をすれば、LINEアプリへクーポンなどの配信が可能になるという仕組みです。

LINEはこのようなアプリ間連携によるサービスのほかに、LINEアプリ内で投資・保険商品なども扱っていますがサービスは限定的です。今後Yahooとどのようなスーパーアプリを作り上げていくのか注目が集まります。

LINE Pay友だち追加機能
LINE Payで支払いをした後、友達追加することでLINEを軸に継続的なリレーションを測ることできる。
出典:LINE Pay加盟店向けブログ

また、NTTドコモは、2019年11月28日から、モバイル決済サービスの「d払い」アプリに、ウィーチャットのような「ミニアプリ」機能を搭載します。第1弾となるのは、タクシー配車サービスの「JapanTaxi」。d払いアプリでタクシーを呼び、運賃もそのままd払いでできるようです。d払いのミニアプリは、今後自転車シェアリングや飲食チェーンのテイクアウト予約など利用サービスの拡大を狙います。

「d払い ミニアプリ」利用イメージ
「d払い ミニアプリ」利用イメージ
d払いアプリを起動し、サービスを選択するとアプリ内で選択したサービスが「ミニアプリ」として起動する。 アプリ遷移をすることなく、そのまま決済まで行える。
出典:NTT docomo

今後、日本国内では様々なアプリのスーパーアプリ化が進み、利用者獲得競争が激化するかもしれません。これからのアプリには、海外で先駆けて成功した「ウィーチャット」や「GO-JEK」のように、「消費者が日常的に利用できるサービスのラインナップ」と「消費者が気軽に利用したいと思えるアプリ設計」が求められるでしょう。

すべてのデータを、 コンテンツへ。

シンクジャムなら、多能工型のプランナーが データ分析からコンテンツ制作まで ワンストップでサポートいたします。

サービスページへはこちらから! 事例ページへはこちらから!