ベビーテックとは?
出生数の減少に反して、国内ベビー用品・関連サービスの市場規模が拡大しつつあるのをご存じでしょうか。背景には、訪日外国人客の増加に伴うインバウンド需要や、待機児童問題の解消に向けた保育サービスの拡充が挙げられます。盛り上がりを見せるベビー用品市場の中で注目されつつあるのが、「ベビーテック」(BabyTech)。Baby(赤ちゃん)とTechnology(技術)を組み合わせた造語で、IT技術を駆使して子育てを支援する製品やサービスの総称です。
ベビーテックが実現する、新しい育児スタイル
ベビーテックは、アメリカの世界最大級のエレクトロニクス製品展示会で、新しいテクノロジーのジャンルとして2016年に紹介されました。欧米では家庭用を中心にベビーテック用品の商品化が進展。近年、共働き世帯比率が増加する日本においても、子育ての負担軽減に向けて、IT技術を活用する育児スタイルが注目を集めています。
(1)慣れない人でもミルクをあげられる、スマート哺乳瓶
「Blue Smart mia」は、赤ちゃんが飲んだミルクの量や時間、温度などをスマートフォンアプリに記録するIoTデバイス。市販の哺乳瓶に、水洗い可能なシリコン製の専用デバイスを装着して使います。スケジュール管理やミルクのあげ方をアプリがサポートするので、慣れていない人でも授乳が可能。赤ちゃんを安心して周囲の人に預けることができます。
主な機能は4つ。
- ミルクをあげる時間になると、アプリが通知を出し、シリコン容器のマークが光る。
- ミルクの温度を色で表示。
- 哺乳瓶を持つ最適な角度をアプリが表示。
- 与えたミルクの量を容器に音声で伝えると、自動的にアプリと連動して記録する。

熱すぎると赤、冷たすぎると青、適温だと緑色に点灯。

ミルクのあげ方を指示。角度が正しくない場合はマークが赤く光る。

デバイスが自動でアプリに時間、量を記録する。
出典 : BlueSmart社
(2)子どもの体調をリモートで確認できる体温計
「Fever Scout」は、専用のデバイスを子どもの身体に装着させ、連動するアプリで体調変化を継続して確認できる体温計です。約40メートルまで接続できるので、子どもが熱を出して寝こんだ時、別の部屋で作業をしながらモニタリングが可能。体温の変化に伴う「筋肉痛」といった身体の変化も確認でき、体温が急上昇するとアラームが鳴る仕組みです。体温変化の記録も残るので、病院に行って医師に病状を説明する際に役立ちます。

保管時は電池式のバッテリーに取り付ける。

(3)赤ちゃんが泣く前に交換できる、おむつセンサー
「Opro9 SmartDiaper」は、専用センサーで温度と湿度からおむつの濡れを感知する育児用品。センサーをおむつに取り付け、おむつが濡れると接続しているアプリに通知が届く仕組みです。
赤ちゃんが泣き始めなくても、おむつ交換のタイミングに気づけるように。連動するアプリは、おむつを交換した時間やおしっこの回数を記録し、健康管理をサポートします。

緑色の部分がプラスチック製センサー。カバーはシリコン素材で柔らかく、水洗いが可能。

センサーをおむつの外側に取り付けるだけ。

おむつの濡れ具合と、通知後の経過時間に応じて、赤ちゃんの表情が変化する。
出典 : http://www.iqlabo.com/smart-diaper/#
家庭に限らず、午睡チェックツールや保育所向けRPAシステムなど、託児所向けのベビーテックサービスも数多く生まれています。保育士の方の負担軽減と、施設の受け入れ人数の増加に期待したいところです。