Z世代が注目する「セルフケア」トレンド

2023年のトレンドは「セルフケア」

画像共有サービスのピンタレストが発表した2023年トレンド予測レポート「Pinterest Predicts 2023」によると、Z世代、ミレニアル世代を中心に「セルフケア」関連のテーマがいくつもトレンド入りしました。セルフケアとは、文字通り「自分で自分をいたわること」。心も体も自分自身で気にかけて癒していこう、といった考えが広まり、注目を集めています。

では、このトレンドにマッチしたサービスを考えるためには、どうしたらよいでしょうか。すでに国内でセルフケア需要をうまくつかみ成功している、「GREEN SPOON」の事例を見ていきましょう。

セルフケアに着目した「GRREN SPOON」の事例

「GREEN SPOON」は、パーソナライズされた野菜・フルーツが、冷凍状態で自宅に届く定額制のサービスです。スムージー用・スープ用など、用途別の商品が展開されています。累計販売数は、2020年3月のサービス開始から約2年で100万食を突破するなど、国内で人気のブランドです。

GREEN SPOONが提供する野菜たっぷりな食事
https://green-spoon.jp/

海外経験で得た、セルフケアの重要性

ミッションとして「たのしい食のセルフケア文化を創る」を掲げるGREEN SPOON。ブランド構想のきっかけは、代表田邊氏の海外経験です。田邊氏は、海外滞在中に、現地の人たちがトレーニングや食事管理などのセルフケア行動を日常的に行っていると気が付きました。さらに、セルフケアをしている人々の自己肯定感の高さを見て、「セルフケアに気を遣うことは、自分を好きでい続けることに繋がっている」と思ったそうです。  

自己肯定感を持たせる「ひと手間」の工夫

以上の田邊氏の経験から、GREEN SPOONの商品には、ユーザーにセルフケアの実感を持たせ、自己肯定感の向上を目指す工夫が隠されています。ここでは、スムージーの商品を例に解説します。  
GREEN SPOONのスムージーは、野菜・フルーツがそのままカットされた状態で届きます。ユーザーは牛乳や、はちみつなどで自分好みに味をアレンジでき、「つくる楽しみ」が生まれます。これは、素材をそのまま届けることで作業の工程を残し、ユーザーがよりセルフケアの実感を得ることを狙いとしたGREEN SPOONの工夫です。また、GREENSPOONでは、セルフケアの実感は自己肯定感の向上に繋がり、ユーザーがサービスを継続する理由になると考えられています。

カットされた状態で届く食材
https://green-spoon.jp/

トレンドの理由を社会背景から考察

セルフケアに訴求したサービスの例として、GREEN SPOONの事例を学びました。また、「そもそも何故、セルフケアがトレンドになったのか」その社会的背景を考察することも、トレンドに訴求したサービスを考える上で重要なことです。   セルフケアトレンドの場合、以下3つの「新型コロナウイルスの流行による、消費者の変化」が影響していると考えられます。  

新型コロナウイルスの流行による消費者の変化

①健康意識の高まり  

コロナ禍を経て、消費者は健康の重要性をより感じるようになりました。そのため、個人の「健康をセルフケアにより維持しよう」といった意識が高まったと考えられます。

 ②自宅時間の増加    

コロナ禍において、多くの時間を家で過ごす人が増えました。これにより、個人がセルフケアに割ける時間や機会が増えたと考えられます。自宅で気軽に行うことができるとして、ストレッチなどの簡単なセルフケアが人気のようです。たとえば、Pinterest Predicts 2023によると、「ぽっこり首エクササイズ」というワードの検索数が、前年比+210%と増加しています。  

③「ひとり行動」への抵抗感の減少  

また、Pinterest Predicts 2023の発表を受けた日経トレンドの特集記事によると、消費者研究プロジェクト「DENTSU DESIRE DESIGN」に所属する電通の千葉貴志氏は、「以前は一人=寂しい状態という共通認識があったように思う。しかし今は、あえて一人を選ぶ人が増加している。一人でいることに対して、肯定的に捉えられるようになった社会的背景が影響しているのではないか」と述べています。たしかに、コロナ禍では他人との接触を避けた行動を選ばざるを得ず、その環境で2年余りを過ごした消費者は、ひとり行動への抵抗感が減少したと考えられます。その結果、ひとりで過ごす 時間が増え、セルフケアに割く時間や機会も増えたのかもしれません。

また、特にZ世代・ミレニアム世代においては、以下2つの要因が、セルフケアトレンドに影響したと考えられます。  

Z世代・ミレニアム世代におけるセルフケアトレンドの要因

①SNSの普及によるストレスの増加

Z世代・ミレニアル世代は、SNSの情報から、多くのストレスを受けていると考えられます。たとえば、SNSで他人の投稿をみて自分と比較し差を感じることや、不本意に攻撃的な言葉を目にすることがストレスの原因です。これらの心理的なストレスを軽減するために、セルフケアが流行した可能性があります。

 ②多様性・個性を求められることへのプレッシャー

現在の社会には、多様性や個性が重視される傾向があります。個人は自分自身を確立し、他と差別化することが求められるようになりました。「何者かにならなければならない」といった意識は、Z世代・ミレニアム世代にとってプレッシャーとなる可能性があります。このようなプレッシャーや要求に対応するために、Z世代・ミレニアム世代はセルフケアを活用して自己理解や自己受容を促進していると考えられます。たとえばPinterest Predicts 2023によると、「自己表現アートセラピー」というワードの検索数が、前年比+120%増加しています。

ワインバーでアートセラピーを体験できる「Artbar Tokyo」
https://www.instagram.com/artbartokyo/

今回の記事では「セルフケアトレンド」をテーマに、その活用事例のご紹介、トレンドの背景について考察しました。常に変化するトレンドをつかむために、事例を知ること、社会の変化による消費者の変化を考察することは欠かせません。これらの点をおさえることで、トレンドにマッチしたサービスのヒントが見えてくると考えます。また、今後のセルフケア市場の広がりにも、ぜひ注目していきましょう。

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