Cycle. me(サイクルミー)

近頃セブンイレブンの売り場で、グレーのパッケージの食品が並ぶ特設コーナーを見かけることはありませんか?これらは健康食品を取り扱うCycle. me(サイクルミー)というブランドの商品です。特徴的なパッケージから印象に残っている方も多いのではないでしょうか。

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000016.000086969.html

小売りでの販売が開始される前、サイクルミーはオンラインショップのみで発売されていました。その後2022年から都内セブンイレブンの一部店舗で販売が開始され、2023年6月には全国での発売が開始されました。現在サイクルミーの取り扱いは1,000店舗にまで拡大しており、注目を集めています。

サイクルミーとは

時間栄養学に基づいた健康食品

サイクルミーは「どんな栄養をとるか」に加えて、「いつとるべきなのか」という視点を取り入れた時間栄養学に基づく商品です。同じ栄養でもとる時間によって吸収・代謝の効率が異なるということが、時間栄養学の研究により明らかになっています。

たとえば、

  • 朝はたんぱく質を多めにとることで日中のパフォーマンスを向上させる
  • 夜はカフェインを避けることで良質な睡眠につなげる

というように、栄養をとる時間帯を考慮することで、メリハリのある生活サイクルの実現が期待できます。

パッケージには商品ごとに、食べるタイミングを表す時計のイラストが描かれているhttps://cycle.me/shop/pages/seven_eleven_limited/

マーケティングの視点から見るサイクルミーの特長

  • おしゃれで手にとりやすいパッケージ

従来の健康食品や機能性表示食品のパッケージには、「ストレス軽減」などの効果や成分が大きく書かれているものが多くありました。そのため手にとりづらい、会社でとり出しにくい、といった抵抗感を感じる人も少なくありませんでした。

それに対しサイクルミーは食べる時間帯を表す時計のイラストをメインとして、あえて成分や効果は大きく書かないデザインとなっています。また、色味もすべてグレーで統一されているため、持つ人やシーンを選ばず手にとりやすい商品なのではないでしょうか?

  • 豊富な商品ラインナップ

サイクルミーは栄養ドリンクにとどまらず、チョコやおつまみ、ゼリーなどの軽食も展開しています。利用シーンに合う、最適な商品が揃っていることもサイクルミーの特長です。

朝昼夜に適した商品ラインナップ(左から、朝用のゼリー、軽食用のクッキー、夜用のおつまみ

https://cycle.me/shop/products/

サイクルミーの特徴

サイクルミーを販売する株式会社ドットミーは、独自の商品開発・販売スキームで開発から販売までを約1年弱に短縮しました。

オープンイノベーション型の開発

オープンイノベーションとは、組織内部だけでなく、組織外の企業と積極的に連携することでアイデアや技術などを取り入れ開発を進めることを指します。一企業にとどまらず、特定の分野に詳しい企業と連携して開発にあたることで、革新的な製品を生み出すことがオープンイノベーションの大きな目的です。

たとえば、JALでは国際線の機内食に関して、菜食主義など多様な価値観を持つ顧客のニーズに対応していく必要性がありました。しかし、JALは菜食主義に対応した食事を提供するノウハウがありませんでした。そこでベジタリアン向けの特別食を開発していた「株式会社みんなのごはん」とオープンイノベーション型の開発を進め、菜食主義対応食を提供できるようになりました。

JALと同様に、サイクルミーもオープンイノベーション型の開発を促進しています。学術的な視点やメーカー各社の技術を取り入れることで、消費者のニーズに対応した商品の開発が可能になっています。

小規模販売テストで消費者の声をもとに素早く改善

サイクルミーは公式オンラインショップを持つ前に、クラウドファンディングによる応援型購入サイトのMakuake(マクアケ)において限定先行販売を実施していました。小規模なテスト販売を実施することで、そこで得られる消費者の声などから素早い改善を図れるでしょう。

Makuake内に設置した、サイクルミーの販売ページに利用者から寄せられた「応援コメント」https://www.makuake.com/project/cycleme/communication/supporter/

以上の2点により、株式会社ドットミーは開発から販売までの期間を短縮しつつ、消費者のニーズに対応した商品を開発してきました。

D2Cブランドがセブンイレブンでの展開に踏み切った理由

サイクルミーがセブンイレブンで展開されるようになった理由は、2つ考えられます。

  • セブンイレブンの販売形態とサイクルミーの商品の特長が一致

サイクルミーの商品の特長は、朝・昼・夜の時間帯に合わせた商品ラインナップにあります。セブンイレブンは24時間営業、町中どこにでもあり生活に密着した販売形態のため、時間帯別のニーズがあるサイクルミーとの相性がいいと考えられます。

  • オープンイノベーション型の開発で、商品の幅を広げられる可能性

現在サイクルミーではセブンイレブンでの販売に際し、セブンイレブン限定商品を数種類発売しています。その中の一つにアサヒ飲料が手掛ける商品があります。アサヒ飲料はセブンイレブンのプライベートブランドの炭酸水を手掛けているため、セブンイレブンを介することでアサヒ飲料とのオープンイノベーション型の開発が実現したという可能性が考えられます。

セブンイレブンと提携がある企業との開発が容易になれば、時間をかけることなく商品の幅を広げられます。これはオープンイノベーション型の開発をするサイクルミーにとって、大きなメリットであったと推測されます。

価値観の多様化が進む現代において、消費者のニーズにどのように素早く対応していくかは企業にとって重要な課題です。サイクルミーの商品開発や販売スキームは、移り変わりが激しい消費者のニーズに対し高クオリティな商品を提供するために参考になる事例なのではないでしょうか。

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