成長を感じられないときは、自分の意見の作り方に立ち返る
専業プランナーの新卒~2、3年目は“やったことがないこと”をいろいろ経験できるため、自分の成長を感じられると思います。しかし、途中から「なんだか成長が止まっているかも‥」と感じる人は、プランニングに対する姿勢を考え直した方が良いかもしれません。まず、見直してほしいのは専業プランナーを始める頃によく耳にする「自分の意見とは何か?」についてです。
企画を立てるというときに「クライアントの問題意識の背景を聞き、問題の原因を明確にし、課題設定~解決施策を創る」というステップそのものは理解できていても、クライアントが欲しているものと、中身が微妙に(もしくは大幅に)ズレているので、結局クライアントを満足させられるだけのアウトプットが出せないという人をよく見かけます。
クライアントの言いなりになっていませんか?
クライアントから「まだ、ぼんやりしたイメージしかないのだが、こういうことがしたいので考えて欲しい。」と言われたときに、執拗に具体的なイメージを聞き出そうとする人がいます。またクライアントが「私はこう考えているのだが‥(あなたの意見を教えて欲しい)」と言われると、クライアントの意向だけを実現しようとして一生懸命になる人がいます。これは、どちらも間違いであり、まず専業プランナーとしての視点でアイデアを提示(=自分の意見)しなければならないでしょう。
「そんなことはわかっている」という人は多いと思いますが、では実際に専業プランナーの視点でアイデアを出したとはいっても、その内容がクライアントがちょっと考えれば思いつくチープなものであったり、データとしての裏付けや確からしい仮説のないロジックの弱いものを出したりするケースもよく見られます。
そういう人に限って、「自分なりにひねり出したアイデアだから、まずはコンサルタントとしての自分の役割を果たした!」とばかりに説明をする人もいますが、いえいえ、そんなレベルの低い思い付きのようなアイデアにクライアントは価値を認めません。
クライアントが「それは自分でもすでに考えたんだよなー違うんだよなーこういう感じだと思うんだけどなー」とでも言うものなら、先ほどの「自分の意見」は捨てて、クライアントが言ったことをできるだけ具現化しようと忖度し、今度は事の本質を見失い企画が明後日の方向に向かってしまう。そして、結局、クライアントから合意を得られず納期に間に合わない‥という人もいます。
クライアントが求めているのは、検討軸(ものの見方)
クライアントは、専業プランナーに背景や目的などをひと通り説明し、クライアントなりのアイデアを自ら出してきたとしても、「それが正しいのか?上手くいくのか?予算内で最後のアウトプットまで一気通貫してまとめられるのか?」が、よくわからないので私たちのような専業プランナーに相談をしているのです。
私たちのコンサルタントとしての仕事は、クライアントの意向をきちんと整理し、何らかの定量・定性データから確からしい裏付けや仮説を基にして、明確な検討軸を立て、複数のアイデアを出し、クライアントに選んでいただくことです。提案では、上長やクライアントからさまざまな突っ込みが入っても耐えられるだけの検討軸を提示しないといけないのに、その検討軸を生み出す「確からしいデータや仮説」が貧弱だと、周りを説得させることはできないでしょう。
「恥ずかしい」と内省しないと、成長できません
こういった課題を解決するには、2つの方法が考えられます。ひとつは、検討軸がなかったり、いま一つ足りない案を出したことに対する羞恥心を持つことです。クライアントの期待を外したアイデアを出してしまったときに、専業のプランナーとしての自分を恥ずかしいと思えるかどうか?です。そうならないよう、念入りに強い検討軸を準備しなければなりません。そこには、専業プランナーとしてのプライドがあります。内省できない人は、このプライドが低いのではないでしょうか?
実際にクライアントを満足させられなくても、その場でヘラヘラして取りつくる人もいますが、そんなヘラヘラ君に対してクライアントは「もうこの人に頼んでもダメだな」と、匙を投げてしまいかねません。基本的なスキル云々の前にプランナーとしてのプライド(専業プランナーとしての覚悟)がとても重要だと思います。
学習する意識を持たないと、成長できません
もうひとつは、本人に学習する気があるかどうか?です。
- 自分や他の人が出したアイデアに対して、過去にどのようなチェック(ダメ出し)が入ったのか?
- こういうアイデアは、なぜ現実的ではないのか?
- そういったフィードバックを基に、どのようなアイデアを出せばクライアントに喜んでいただけるのか?‥など、ということに対し考えが及んでおらず、自分の狭い価値観の中で物事を簡潔させようとしていませんか?
「こう考えると、どういうチェックがくるのか?」ということを、どんどん自分に蓄積しておかなければ次のステージに成長できません。「自分が知らない」ということを謙虚に知って、新しい知見を増やそうとしない限り、先に進むのは難しいでしょう。
まわりの人たちの意識も重要
しかし、一方で上長などが部下の資料を見て「うーん、その程度のアイデアか‥(しょうがないな)じゃ、こちらでやっておくか‥」と過度に手助けしてしまうと、その人は何が悪いのか、次にどうしたらいいのか?という学習をするチャンスを失ってしまいます。優しい上長は、時として悪魔です。
上長は忙しいからといって、逃げずにその人と対峙して、そのアイデアの何がNGなのかをきちんとダメ出ししないといけないですし、もう一度やらせないといけないでしょう。若い専業プランナーを成長させるには、まわりの人たち意識も重要です。