これからの消費を担う存在としてZ世代が注目される中、彼らの消費傾向は「暗号消費」と呼ばれ始めています。この消費傾向について、逆の意味をもつ言葉である「記号消費」と比較しながらご説明します。
記号消費とは?
記号消費とは、別名「見せびらかし消費」「顕示的消費」とも呼ばれ、高級ブランド品やラグジュアリー商品を所持することで、他者と差別化することを目的としています。
記号消費の具体例として、メルセデス・ベンツの車やルイ・ヴィトンのバッグを買うことが挙げられます。それらのアイテムを持っていることで「お金持ちである」「自分はそれらが買えるステータスにある」と示し、他者と差別化することが、1980年代頃に見られた記号消費の傾向のようです。
増加する暗号消費
一方暗号消費とは、他者との差別化ではなく、自己表現を目的とした消費です。
記号消費とは対照的に、誰もが一目見て判別できるようなハイブランド商品には消極的であることから、“暗”号消費と呼ばれています。
具体例としては、ハンドメイド商品や古着などの購買が挙げられます。国内大手のハンドメイド商品通販サイトであるCreema(クリーマ)の2024年2月期 第4四半期決算説明資料によると、登録作品数やアプリダウンロード数は増加し続けています。

このことから、暗号消費は世の中の潮流として盛り上がりを見せていることがわかります。
暗号消費の背景
Z世代はデジタルネイティブと呼ばれるように、生まれた時からインターネットとの距離が近く、SNSを使いこなしている人が多いと言われています。
そうした環境で多様な価値観に触れる機会が多い彼らは、これまでの世代に比べ「自分らしさ」や「個性」をより尊重する傾向にあると考えられます。
この傾向は消費行動にも表れており、大きく以下の2点にまとめられます。
- 他者の価値観によらず、自分が価値を認める商品やサービスにお金を費やす
- 個性を表現できる商品やサービスを利用する
前段で紹介したハンドメイド商品や古着は、まさにこの2点を満たすものといえます。
ハンドメイド商品は、通販サイトに作者のこだわりや制作エピソードが書かれていることもあり、消費者はそのストーリーに共感する(=自分の価値観と合致させる)ことができます。
例えば、Creemaと同じハンドメイド商品通販サイトであるminneで販売されている「紙 medium art / CANDLES」という商品は、制作者がコロナ禍で抱いていた心情や、それがどういかされて作品づくりにつながったのかが詳しく書かれています。

こうした暗号消費はこれからも続いていくのでしょうか?
これからの暗号消費
上の問いについて考察するひとつのヒントとなるのが消齢化社会です。
博報堂生活総合研究所によると、消齢化社会とは「生活者の好み、価値観などについて、年代/年齢による違いが小さくなる現象」を意味します。消齢化社会はすでに起こっている現象であり、生活のあらゆる場面で「年相応」の考え方が薄らいできています。

こうした社会の変化を踏まえると、Z世代に限らず多くの年代で「自分らしさ」を重視する人は増えていくのではないでしょうか?
また、商品を自分好みのデザインなどにカスタマイズできるサービスも広がりを見せています。
以下のTAG-COFFEE STAN(D)はカスタマイズサービスのひとつです。購入者はドリンクの味やラベルのデザインを選択でき、「自分だけの特別な1本」を作ることができます。

自分が好きなものを気兼ねなく求めることができ、またそれらを手に入れる術が増えている中、暗号消費はさらなる拡大が予想されるのではないでしょうか。









