Vlogとは
「Vlog」は「Video」と「Blog」を組み合わせた“動画ブログを意味する“造語です。内容は、配信者であるVlogger(ブイロガー)が自分の日課や趣味などを撮影して、10~20分程度に編集したもの。YouTubeやInstagramなどのような、動画プラットフォームの名前ではなく、あくまでも該当するコンテンツ群の通称です。Vlogが配信されている動画プラットフォームはYouTube、InstagramやTik Tokなど多岐にわたりますが、現状日本ではYouTubeの配信がほとんど。
最近では中国や韓国などのアジア圏で配信者が増えており、新しい動画マーケティングの手法としても注目を集めています。

欧陽娜娜さんはYouTube(左)や中国版TwitterのWeibo(右)など、 さまざまなプラットフォームでVlogを配信。 複数のチャンネルを使い分け、幅広い視聴者にアプローチしている。
欧陽娜娜さんはYouTube(左)や中国版TwitterのWeibo(右)など、
さまざまなプラットフォームでVlogを配信。
複数のチャンネルを使い分け、幅広い視聴者にアプローチしている。
Marketing Research Campが行った2019年の調査によれば、日本でも約3割の人々がVlogを認知しており、20代のうち約4割の人が存在を認識していました。(ただ、アンケートに回答した人々が、Vlogとその他動画コンテンツとの差異をどれほど認識しているのか不明瞭なため、調査結果の読み取りには注意が必要かもしれません)

Marketing Research Campが17歳~69歳の男女1,100名にアンケートを実施。 Vlog視聴経験者の約3割が、「ほぼ毎日視聴する」と回答した。(アンケート回答者は943名)
出典(https://marketing-rc.com/report/report-video-20190717.html)
Vlogが人気を集める背景には、動画コンテンツが一般に浸透するにつれて、有力インフルエンサーの多くが広告目的の動画を投稿するようになったことが挙げられます。広告過多の既存動画コンテンツに辟易した人々に支持されるようになったのが、個人のライフスタイルにフォーカスするVlogなのです。
「日常」を切り取るVlog
これまで支持を集めてきたYouTuberコンテンツの内容には「~をやってみた」、「ドッキリ」など、バラエティ要素が多いのに対し、Vlogは配信者の飾らない「日常」がコンテンツです。人気ジャンルとしては、毎日のルーティン(料理や身支度)、旅行やドライブ・散歩など移動中の風景が挙げられます。

出かけるまでの身支度、ご飯を食べる様子などを配信。 動画の淡々としたタッチが「飾っていなくて良い」と人気を集めている。

カメラに向けて話しながら、旅行先での移動の様子や、風景、食事シーンなどを配信。
Vlogの移動シーンは、構図が固定されず、手持ちで自然に撮られることが多い。
Vlogは、個人のライフスタイルにフォーカスするというコンテンツの特性上、広範囲にわたる情報発信ではなく、特定の趣向をもった「狭い」範囲の視聴者に深くアプローチすることが可能です。そしてVlogの視聴者は、コンテンツ自体の面白さより、「この人と同じような暮らしがしたい」とVloggerの生活に共感できることを重要視します。そのため、一般的な認知度は低くても、特定のファン層と信頼関係を築き、局地的な人気を集めるVloggerは数多く存在します。
Vlogを活用した販促事例
Vlogは、PR要素が少ない動画プロモーション(商品の使用感などをさりげなく伝えるといった方法など)の手法として企業に活用されつつあります。視聴者と信頼関係を築いているからこそ、控えめな紹介でも、商品のポジティブな印象を視聴者に与えることが出来ます。
(1)KKday
旅行ツアー会社「KKday」は、日本のYouTuberヨッシーさんが運営するチャンネル「City_Nest」とタイアップ。ヨッシーさんは旅行の行程や感想について視聴者に話しながら、移動風景や観光中の様子を撮影しています。途中、「日本人のガイドが付いて歴史的な背景を教えてくれます」とツアーについて言及する部分は数秒ありますが、それ以外はプロモーションであることをほとんど感じさせない内容です。

カメラに向かって話しかけつつ、移動中の風景を撮影することがほとんど。 左下のロゴ表示でKKdayとのタイアップ要素が確認できる。(赤枠)
(2) SONY
SONYのPlayStationマーケティングチームは、ブランドと頻繁にタイアップしているインフルエンサーと共に、カナダ在住のオーディエンスを対象にした「PlayStation VR」の宣伝活動を実施。そのうちの一人であるKarl Conradさんは自身のチャンネルで、好みのカスタマイズ方法について話したり、ゲームを実際にプレイする姿をVlogで配信しました。

企業とのタイアップ動画でありながら、 エンゲージメント率(いいねとコメント数の合計を再生回数で割った数値)は 7.9%(2019年11月時点)を記録。
現在日本国内でVlogを活用したプロモーション事例は少ないようですが、コンテンツ自体は着々と人気を集めつつあり、今後日本でも動画プロモーションが浸透するかもしれません。