物価高が続く中、ディスカウントスーパー「ロピア」の人気が急成長しています。「食のテーマパーク」というコンセプトを掲げ、品質の良い商品をお得に提供するとともに、買い物が「楽しい」と思えるような顧客体験をつくり上げています。最近では、個性的なオリジナル商品がテレビ番組で取り上げられるなど、子供連れ家族を中心に話題になっています
今回は、そんな人気急上昇中のロピアの独自の経営戦略に迫ります。
OICグループの売上高は10年で約7倍に
ロピアは、スーパーや精肉店を運営する株式会社OICグループの傘下にある企業です。OICグループの売上高は2013年の501億円から、2024年2月期には4,126億円まで急成長を遂げました。店舗数も年々増加しています。2013年は26店舗でしたが、2023年には九州と東北エリアに進出し、2024年8月時点では台湾店舗を含めて98店舗にまで広がっています。

( https://job.mynavi.jp/26/pc/search/corp87262/outline.html )
ロピアの売り場に潜む独自の工夫
ロピアの急成長の秘密は、売り場に潜んでいます。他のスーパーにはない、独自の運営方法をご紹介します。
まるで店主?現場責任者「チーフ」の存在
一般的なスーパーでは、開発、価格設定、開発などの業務を、本部が一括管理しています。しかし、ロピアではこれらの業務を「チーフ」と呼ばれる、部門ごとの現場責任者が担当しています。各部門のチーフが開発から価格設定、陳列まで自ら手掛けるため、売り場は部門ごとに特徴を持ち、まるで個人商店のようになっています。この仕組みにより、ロピアは各部門で競争が生まれ、店どうしの競争力が向上しています。

( https://lopia.jp/growth#g_1 )
また、チーフには店舗の売上高に応じて賞与が支給されるなど、待遇に工夫が施されており、働きぶり次第では20代で年収1,000万円を超えるチーフもいるそうです。マイナビによると、実際にロピアでは「3年以内のチーフ昇格」を目標に掲げ若手育成に力を入れています。新卒採用では毎年100名近くの採用者数を確保しており、若いうちから挑戦したいと意欲を持った人材が集まっています。 ( https://job.mynavi.jp/25/pc/search/corp87262/outline.html )
地域の色が出る店舗経営
ロピアは、店舗によって地域に合わせた品揃えや店内ポップを作成しています。実際に現場にいるチーフが、地域のニーズを的確に把握できるため、このような地域密着型の経営が実現されています。
地域の特色が出ている店舗として、沖縄県の国際通り店をご紹介します。
この店舗は、2024年3月25日にオープンしました。店内には、沖縄の方言を使ったポップや、大容量のタコライスなどがあり、沖縄ならではの要素を取り入れたロピアをつくり上げています。売り場面積は通常のロピアの半分程度ですが、客単価は県内の他のスーパーの2倍以上となっており、地域の人のみならず、訪日外国人にも利用されているそうです。

( https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00096/062600178/ )
キャッシュレス時代に「現金のみ」
ロピアは、カード、QRコードなどのキャッシュレス決済を導入していません。キャッシュレス時代にも関わらず、現金のみの決済という大胆な施策ですが、この選択には顧客を第一に考えた目的があります。
それは、商品をより安く提供するためです。キャッシュレス決済を導入すると、店側は手数料を見越した価格設定が必要となり、結果的に商品が割高になってしまいます。これでは、購入する顧客が実質的に損をすることになります。そのため、ロピアでは現金決済を貫き、顧客が安い価格で商品を購入できるように工夫しています。
ロピアから学ぶ競合との差別化
思い切った引き算経営
ロピアの経営から学べることの一つは、「常識破りの引き算経営」です。ロピアは引き算経営をすることで、ムダを省き、コストカットを実現しています。
まず、商品の取り扱いの工夫です。ロピアは飲料の冷蔵ケースを撤廃し、飲み物を常温で販売しています。また、日用品やたばこなど、他店との差別化が難しい商品は取り扱っていません。これにより、光熱費のコストカットや、ロピアが注力している食品で他店と勝負することが可能になっています。
さらに、人件費の削減にも積極的に取り組んでいます。多くのスーパーでは、客のカートを整理するスタッフがいますが、ロピアではこのような仕組みを設けず、コイン式カートを導入しています。これにより、客自身にカートを戻してもらうことで人件費を削減しています。
このように、「顧客が離れてしまうのではないか」と思えるような引き算経営ですが、大幅なコストカットを実現し、結果的には収益の安定化を達成しています。

モノに加えて顧客体験も提供
ロピアは、安い価格で商品を提供するだけでなく、「食のテーマパーク」というコンセプトを掲げ、単なる買い物を超えて「楽しい」と思えるような顧客体験をつくり上げています。
実際の店舗には、お菓子コーナーの頭上でおもちゃの列車が走っており、子供連れに喜ばれています。また、他では見られないインパクトのある商品を販売し、自宅でも商品がきっかけで会話が生まれるような、体験価値を提供しています。
こうした独自の顧客体験を提供することが、他スーパーとの差別化を図るカギとなっています。

( https://iemone.jp/article/gourmet/tsukino_102579/ )
このように、ロピアは工夫されたアプローチにより、競争が激しい市場でも差別化に成功しています。特に、普段当たり前とされていることに対して「本当に必要か?」と問い直す姿勢がロピアの特徴です。こうした疑問を持つことで、無駄を省いた効率的な運営が可能になり、同時に独自性も生まれます。これを実行することで、市場での競争優位性を高めることができるでしょう。









