DOOHとは、Digital Out of Home(デジタル屋外広告)のことで、OOH広告の一つです。例えば、駅のデジタルサイネージやビルの大型スクリーン、レストランの小型タッチパネルなどがあります。
DOOHの市場動向
DOOHの市場規模は拡大傾向にあり、今後も成長が期待されています。
Live Boardの調査によると、広告業界内におけるDOOHの出稿率は、コロナ禍の2021年の10.4%から徐々に回復し、2023年には14.2%となりました。
広告予算額も、2021年1.34億、2022年1.67億、2023年では1.81億という結果となり、コロナ禍以降は上昇し続けています。
DOOHの種類
DOOHには、ダイナミックDOOHとプログラマティックDOOHの2種類があります。
①ダイナミックDOOH
ダイナミックDOOHとは、周辺情報を活用し、リアルタイムで広告の内容を変更できる仕組みです。これは、センサーやカメラ、IoTの技術を活用して、外部の情報を取り込むことで実現されています。
事例として、デジタルサイネージアワード2023のグランプリに輝いた、マクドナルドの「ランダムマックQR」をご紹介します。
マクドナルドは、モバイルオーダーの利用率の低さについての改善案として「ランダムマックQR」を開発しました。QRを読み込むとランダムにメニューが決まり、そのまま購入、受け取りができるという仕組みとなっています。
また、ダイナミックDOOHの特徴である周辺情報の取り込み機能を活用して、エリア・気温・天気に応じてリアルタイムでコピー・メニューを出し分けし、話題化を図りました。
実際に、このキャンペーンに2,074,334人が参加しました。KPI達成率は1,481%、リーチ数28,017,283という結果となり、モバイルオーダーの利用が促進されました。

(https://digital-signage.jp/openevent/award/dsa2023-1/)
②プログラマティックDOOH
プログラマティックDOOHとは、屋外広告の自動売買と配信を行う仕組みです。
これは、インプレッション課金という仕組みで動いています。搭載されているAIカメラが、デジタルサイネージを見ている人の数やデータを取得し、それに基づいて広告枠を取引し、適正な価格で広告枠を売買するものです。
これにより、1放映の広告で何人の顧客に届いているかを把握でき、マーケターにとっても媒体社にとってもメリットのある取引が可能になりました。
プログラマティックDOOHを導入例として、3D巨大猫で知られた「クロス新宿ビジョン」を紹介します。
このデジタルサイネージは、人流の画像や空間データのAI解析を導入し、リアルタイムの視聴者数・属性の計測が可能なため、従来のものより効果的で使いやすいDOOHへと進化しました。
その結果、「どのような人たちが何人見たのか」という視聴データをリアルタイムに把握することで、出稿前のシミュレーションや出稿中の効果検証が可能になりました。
DOOHを導入するメリット
次に、DOOHを導入するメリットを3点紹介します。
①認知拡大につながりやすい
DOOHは、通行人や観客の目に留まりやすく、印象に残りやすいです。特に人通りの多い交差点などに設置されれば、潜在ターゲットにもアピールできます。
例えば、最近ではNetflixのDOOHが注目を集めました。Netflixは、2024年3月から配信を開始したドラマ「三体」のDOOHを展開しました。
「超科学技術を誇る三体人が、人間を『虫けら』と呼び、地球戦略を宣言する」という名場面を、広告で再現しています。ウェザーニュースとコラボレーションし、「日常が破壊されるスリル」を感じる広告となっています。
実際の映像では、気象キャスターがいつも通り天気を伝えようとすると、突然「明日は…来ないでしょう」と発言し、画面にエラーが出ます。
このように人々を驚かせる広告は、ネットで話題になります。実際にX(旧Twitter)では、「ウェザーニュース始まると思ったら『えっ』となった」「予告だと思わなかった」「思わず3度見した」という声が多く寄せられています。
②詳細なターゲティングで、消費者に効率よくリーチができる
DOOHは、位置情報を活用したターゲティング配信が可能です。サイネージとユーザーデータを連携させることで、位置情報の履歴をもとに、対象ユーザーがよく訪れる場所のサイネージに広告を配信することができます。
また、天気、気温、日時に応じてクリエイティブを変化させることもできます。これにより、外出先のユーザーに最適化された配信が可能になります。このメリットを活用した成功事例が、味の素株式会社の鍋キューブ®のDOOHです。味の素株式会社は、指定された気温で配信をする気温連動広告を展開しました。
その結果、寒い瞬間に鍋キューブ®のDOOHをすることができ、購買意欲を掻き立て、購買行動を促進しました。

(https://liveboard.co.jp/case/202304001992.html)
効果検証では、商品認知率が6.1pt、興味が13.0pt、購入意向が18.1pt高くなりました。分析によると、オンターゲット率では、TVやYouTubeより屋外ビジョンが優れた結果を残しました。

(https://www.advertimes.com/20230414/article415635/)
③効果測定がしやすい
インパクトのあるDOOHは多くの歩行者の目を引き、スマホで撮影されることもあります。このような場面で、広告を閲覧した人の数や属性が知りたいと感じても、従来は過去の調査に基づく周辺滞在者数の把握にとどまり、リアルタイムの視聴者数を正確に把握することは困難でした。
しかし、進化したAIの導入により、現在のDOOHはリアルタイムで視聴者数やその属性を把握し、データを蓄積できるようになりました。このシステムにより、屋外広告であってもネット広告と同じように視聴者データを詳細に取得できます。
このメリットを活用した例として、ヒマラヤゴルフ本店のAIカメラを導入したDOOHをご紹介します。
ヒマラヤでは、店内にデジタルサイネージを設置していましたが、効果測定のためのデータが取得できず、客層に合わせた広告運用ができていないことが課題になっていました。そこで、ヒマラヤは視聴データや来店客の属性を可視化するために、デジタルサイネージにAIカメラを設置しました。
実際に、実証実験では延べ16,000人以上の来店客のデータを分析でき、男女比や各サイネージの視聴状況がわかり、これをもとに最適な販促施策の立案に役立てることが可能になりました。
DOOHの可能性はまだ広がりそうですので、これからも新しい試みが多々出てくると考えられます。DOOHを活用する際は、「DOOHを利用すること」が本来の目的とすり替わらないように注意しつつ、しっかりとKPIを追うことが大切です。












