「NEW KAWAII」を牽引する注目アイドル——FRUITS ZIPPERとは?
話題沸騰中のアイドル―FRUITS ZIPPERとは?
今若い世代を中心に人気を集めているFRUITS ZIPPERは、2022年に結成された7人組の女性アイドルグループです。アソビシステムのアイドルプロジェクト「KAWAII LAB.」から誕生し、「原宿から世界へ」をコンセプトに掲げて活動しています。プロデューサーは木村ミサ氏で、メンバーそれぞれが異なる個性やルーツを持っています。

画像はアソビシステムの公式サイトより(https://asobisystem.com/talent/fruitszipper/)
FRUITS ZIPPERの快進撃
代表曲『わたしの一番かわいいところ』はYouTubeでのMV再生回数が5,500万回を超えるなど、その勢いは加速しています。また、キーワード検索の結果「フルーツジッパー」の検索数が前年比+173%と大きく伸びており、2023年には日本レコード大賞・最優秀新人賞を受賞するなど、注目の存在となりました。(2025年5月19日現在)
なぜいま、FRUITS ZIPPERが支持されるのか?―共感を呼ぶ「NEW KAWAII」という価値観
FRUITS ZIPPERが人気の背景には、「NEW KAWAII」という新しい価値観があります。これは、従来の「かわいい」にとらわれない、自分らしさや多様性をポジティブに表現するスタイルです。
たとえば、『わたしの一番かわいいところ』には、“君が知っているわたしが一番かわいいの、わたしもそれに気付いた!”“わたしの一番かわいいところをよく見てる、そんな君がほんとに超ラッキーな人すぎる!”というフレーズが登場します。ここには、自分の魅力を素直に認めて肯定する姿が描かれています。
また『NEW KAWAII』では、“わたしこのままでもいいじゃん”“大事なお仕事中に居眠りしちゃう人もNEW KAWAII”といったフレーズが印象的で、長所も短所も含めてまるごと受け入れるスタンスが特徴的です。このような全肯定のメッセージが、多くの人の心を掴んでいると考えられます。

画像は『NEW KAWAII』のMVより(https://youtu.be/7Am9TCA3WrA?si=2Wx1YMQRmaqdRCGg)
「かわいい」のアップデート——昭和・平成・令和で見る価値観の推移
昭和・平成の「かわいい」―他者承認の「かわいい」
昭和から平成にかけての「かわいい」は、他者の目を意識した他者承認の価値観でした。たとえば、当時人気だったアイドルオーディション番組には、その価値観が色濃く表れています。高度経済成長の流れの中で、「未完成なものに愛着を持ち、その成長を応援したい」という感覚が広がったと考えられており、当時のアイドルはオーディション番組と密接な関係を築いていました。人々は、アイドルという原石が成長していく姿に夢中になり、熱狂的に支持していたようです。この時代の「かわいい」は、「誰かにかわいく見られたい」という他者視点の受動的な価値観だったと言えるでしょう。

画像はTOWER RECORDS ONLINEより(https://tower.jp/article/feature_item/2011/01/21/74444)
令和の「かわいい」―自己肯定と多様性の「NEW KAWAII」
一方で、令和の「NEW KAWAII」は、自己肯定と多様性を軸にした能動的な価値観にアップデートしているように見えます。FRUITS ZIPPERの楽曲に込められた、「自分のかわいさは自分で決める」という姿勢は、その象徴的な例と言えるかもしれません。また、FRUITS ZIPPERのプロデューサー・木村ミサ氏が「メンバーの個性を消さず、それぞれの『かわいい』を引き出したい」と語るように、「かわいい」は一つの型にはまったものではなく、誰もが持つ多様な魅力として肯定されるようになってきているようです。

画像はアソビシステムの公式サイトより(https://asobisystem.com/news/51342/)
マーケティングへのヒント──“自分らしさ”に寄り添う価値設計を
“納得型”消費から読み解く、FRUITS ZIPPER人気の背景
博報堂とWOWOWによる「夢中のチカラ調査」(2025年)によれば、20~74歳の2人に1人(51.2%)が夢中になれるものごとを持っており、17.3%は「他人の評価に左右されない、自分軸の夢中」を持っていると回答しました。このデータは、現代の消費行動において”納得感”が重視されていることを示唆しているのではないでしょうか。この観点から見ると、「NEW KAWAII」という価値観は、まさに“自分らしさを大切にする”という時代のニーズと合致しており、FRUITS ZIPPERの支持の広がりもそこに要因があると考えられます。

画像は博報堂ニュースリリースより(https://www.hakuhodo.co.jp/news/newsrelease/117034/)
マーケティングに活かす―“自分らしさ”を支える価値設計の実践
このような納得型の消費スタイルから得られるマーケティングのヒントは少なくありません。どれだけ評価が高くても、消費者自身が「これは自分に合っている」と感じなければ、購入にはつながりにくいと考えられます。
そのため、商品やサービスには「意味性」「共感性」「自己投影性」といった要素を取り入れ、消費者が「自分で選んだ」と実感し、納得できるような体験を設計することが重要になってきそうです。特に、住宅・自動車・教育などの高額かつ高関与な商品では、「社会的ステータス」よりも「自分らしさ」に訴求するアプローチが、より深い感情的なつながりを生む可能性があります。
「NEW KAWAII」が教えてくれる、これからの価値観
「NEW KAWAII」は、変化する時代の価値観を象徴するキーワードのひとつです。自己肯定や多様性といった感覚が重視される今、自分らしさを前向きに肯定するそのスタンスは、個人だけでなく企業やブランドにとっても、多くのヒントを与えてくれるはずです。消費者の内なる納得に寄り添いながら、共感を育むマーケティング戦略が、これからさらに求められていくのかもしれません。









